特別展「プラカードのために」
国立国際美術館では、2025年11月1日から2026年2月15日まで、特別展「プラカードのために」を開催します。この展覧会では、美術家・田部光子の作品を中心に、彼女が生み出した言葉や視点を通じて生きることの尊厳や力を探ります。
田部光子は、1933年に台湾で生まれ、1946年に福岡に引き揚げて以来、前衛芸術集団「九州派」の一員として活動してきました。彼女は1961年に記した文章「プラカードの為に」において、大衆のエネルギーを示すプラカードを創り出すことで社会に影響を与える可能性について語りました。この文章は、単なる言葉の集合体ではなく、田部自身の活動指針を示すものであり、作品の背後にある思考過程や抵抗の姿勢を感じることができます。
展覧会の構成
本展は、田部の作品を軸にしながら、彼女を含む7名の作家の作品を展示します。それぞれの作家は、社会の中で見過ごされる経験や思いに目を向け、その活動を通じて既存の制度に疑問を投げかけています。彼らの表現を通じて、私たちは自らの生活や社会、そして歴史を再考し、表現の意味を探ります。
田部光子の作品
田部の代表作《プラカード》は、様々な時代背景を持つ出来事を取り上げたコラージュ作品です。この作品は、労働争議や安保闘争といった社会問題を反映し、視覚的な力強さとともに大衆の声を叫んでいます。また、《人工胎盤》は、女性の社会的な不平等に焦点を当てた作品であり、近年ではフェミニズムアートの先駆的存在として位置付けられています。
現代の作家たち
本展に出展する現代の作家たちは、牛島智子、志賀理江子、金川晋吾、谷澤紗和子、飯山由貴、笹岡由梨子の6名です。彼らの作品は、映像やインスタレーション、絵画など多岐にわたり、多様な表現方法で社会に問いかけます。
- - 牛島智子は、地域の歴史や素材を取り入れたインスタレーションを展開し、日常生活とアートを融合させています。
- - 志賀理江子は、東日本大震災を経験した後、人間の精神とその根源に迫る作品を制作しています。
- - 金川晋吾は、家族や信仰などのテーマを通じて、個人の経験を社会に向けて発信しています。
- - 谷澤紗和子は、過去の声を可視化し、抑圧された存在への回帰を試みる作品を展示します。
- - 飯山由貴は、福祉や個人の経験を記録した映像作品を紹介します。
- - 笹岡由梨子は、映像インスタレーションを通じて固定観念を揺さぶる作品を発表します。
参加イベント
展覧会の期間中には、アーティスト・トークやワークショップなどの関連イベントも予定されています。特別展をより深く理解するための貴重な機会ですので、訪れる際にはぜひ計画してみてください。
開催情報
- - 会期: 2025年11月1日(土)~2026年2月15日(日)
- - 会場: 国立国際美術館地下3階展示室
- - 開館時間: 10:00~17:00(毎週金曜は20:00まで)
- - 観覧料: 一般1,500円、大学生900円(詳細は公式サイトにて)
- - 公式サイト: 国立国際美術館
ぜひ、この展覧会を訪れてみてください。田部光子の作品や現代作家の視点を通じて、さまざまな社会的な問いを考える機会になること間違いなしです。