いすゞ自動車のCHRO、有沢正人氏が語る人的資本経営
2025年7月18日に開催されたオンラインセミナー「人的資本経営をベースにした人事制度の改革」では、いすゞ自動車株式会社のCHRO(最高人事責任者)として活躍する有沢正人氏が登壇しました。このセミナーは、個人と組織のより良い関係の構築を支援する一般社団法人プロティアン・キャリア協会が主催し、人的資本経営のリアルな取り組みについて深く掘り下げるものでした。
人的資本経営の目的
有沢氏はセミナーを通じて、人的資本経営における中心テーマは「社員一人ひとりの市場価値を高めること」であると強調しました。そのための具体的な戦略には、以下の三つの柱があると語ります。
1.
公正な評価と報酬制度: 役割と成果に対する透明性の高い評価基準に基づき、全社員が公正に評価されるようにする。
2.
計画的な経営人材育成: 若い層の中から将来のリーダーを選抜し、早い段階から育成する仕組みを作ること。
3.
キャリア自律の支援: 社員が自分自身の意思でキャリアを選択できる環境を整える。
CHROの重要な役割
有沢氏は、CHROの役割を「人材投資」と捉え、その最大限の効果を引き出すために、社員の「生の声」をしっかりと聞き、問題解決に向けた対応を約束する姿勢が極めて重要であると述べています。この姿勢が、信頼に基づいた対話を生む基盤となり、企業文化の浸透にも貢献します。
今後の展望
いすゞ自動車では,エンゲージメントサーベイの結果を役員のKPIに組み込み、人的資本経営をさらに加速させていく計画です。企業の持続的成長と個人のキャリア自律を両立させるこの経営戦略は、未来の人材育成に向けた示唆を与える内容でした。参加者からも多くの質問が寄せられ、有沢氏が率いる人的資本経営の具体像をより一層理解する機会となりました。
登壇者のプロフィール
有沢正人氏: 慶應義塾大学商学部卒業後, 1984年に協和銀行(現りそな銀行)に入行。以降、米国でMBAを取得後に多くの企業で人事や経営企画を担当してきました。2004年にはHOYAでグローバル人事制度の設計・運用を行い、2009年にはAIU保険で人事担当執行役員を務めました。2012年以降はカゴメでグローバル人事の責任者を経て、いすゞ自動車でCHROに就任し、人的資本経営を推進しています。
有山徹氏: 早稲田大学卒業後、IT企業やコンサルティング会社で活動し、経営戦略やM&Aに関わりました。2019年に4designs株式会社を設立し、プロティアン・キャリア協会も共同で創立しました。キャリア自律の支援を通じて、企業の組織開発を手掛けています。
このセミナーを通じて、いすゞ自動車が注力する人的資本経営の取り組みが、多くの企業や個人にとっての指針となることが期待されています。