ミュージカル『LIGHT YEARS -幾光年-』の意義と魅力
昨年7月31日と8月1日に有楽町マリオンで上演されたミュージカル『LIGHT YEARS -幾光年-』。この作品は、作曲家都倉俊一氏が被爆80年をきっかけに発表したもので、多くの観客を魅了しました。主演には大原櫻子、特別出演には松坂慶子が名を連ね、全3回の公演は満席の大盛況を記録しました。
伝えられた歴史と家族の絆
このミュージカルは、1988年からロンドンを拠点に活動を続けてきた都倉氏が、1994年にウェストエンドで発表した自作『OUT OF THE BLUE』をもとにしています。都倉氏はこの30年間、作品を再構築し続け、被爆の歴史に新たな光を当てています。本作のメッセージには、「長崎の物語を世界に発信する」「未来への平和の祈り」が込められています。
物語は、長崎で被爆した母ヒデコ(演:愛加あゆ)、娘ハナ(坪井木の実)、その孫娘ヒデミ(大原櫻子)の4世代にわたる家族のドラマです。母のヒデコはアメリカ人の父との間に娘を命がけで出産し、娘のハナは被爆体験を抱えながら生きています。ハナとヒデミが過去の歴史をどのように受け止め、家族の絆を再確認していくのかが、観客に深い感動を与えました。
歴史の重みと未来への希望
『LIGHT YEARS -幾光年-』では、被爆体験を持つハナがヒデミに過去の出来事を語る形で、物語が進行します。長崎での原爆投下から80年という年月を経て、封印されてきた家族の歴史を掘り起こし、悲しみ、憎しみ、そして和解のプロセスが描かれます。アメリカ軍人の父と日本軍人の叔父の確執が生む悲劇を乗り越え、ハナは母から受け継いだ思いをヒデミに伝え、その過程で家族の絆と平和の大切さを深く理解していきます。
また、大原櫻子が演じるヒデミは、華やかな歌唱力で若き日のハナと祖母ヒデコの役を見事に演じ分け、観客を引き込みました。特別出演の松坂慶子も物語の中で重要な役割を果たし、作品の深みを増しています。最後に、都倉氏は「被爆体験を風化させてはいけない」と語り、平和のメッセージを未来に繋ぐ意志を示しました。
実施概要
公演日時
- - 2025年7月31日(木)18:30~
- - 2025年8月1日(金) 13:30~/ 17:30~
会場
東京都千代田区有楽町2丁目5番1号 有楽町マリオン別館7F
出演者
- - 大原櫻子 (ヒデミ/若きハナ役)
- - 相葉裕樹 (マーシャル役)
- - 愛加あゆ(ヒデコ役)
- - 坪井木の実(老いたハナ役)
- - 鈴木壮麻 (アキヅキ医師役)
- - 広田勇二 (ハヤシ役)
- - 松坂慶子 (語り部) など
この作品は、家族への愛、そして平和への思いを伝える大切なメッセージを持っています。大阪でも公演が予定されているため、ぜひ多くの方にこの感動の舞台を体験してほしいです。