大阪大学とPITTANが連携、汗分析による健康評価法の革新
大阪大学大学院基礎工学研究科と株式会社PITTANが共同で行う研究が始まります。目的は、微量の汗を利用して老化や運動による健康状態を評価する新しい手法の確立です。
研究背景
株式会社PITTANの技術を用い、独自の3次元培養表皮モデルを駆使して、老化に関連する因子や運動による健康促進のメカニズムを解明していきます。特に、運動時に筋肉から放出されるマイオカインの汗中での検出方法を開発し、その効果を実証することが目指されています。
運動時に分泌されるマイオカインは、抗炎症作用や代謝調整に寄与し、健康促進に重要な役割を担っています。これまで主に血液検査が必要とされていたこれらの因子の測定を、汗を利用して簡便に行う手法を模索するのです。
研究方法
本研究では、J-TEC社のEPI-MODELとRevivo社のskin-on-chip技術を用いた二つの3次元培養表皮モデルが活用されます。これらのモデルを用いて、老化関連因子であるPAI-1を含む分子の発現を制御し、さまざまな老化段階の皮膚モデルを作成します。
また、温度変化や機械的刺激を加えることで、炎症応答の分泌物質の変化についても解析します。研究チームは、温度を37度から42度に上昇させることで、ヒートショックタンパク質の活性化を模倣し、炎症を促す実験を行います。
期待される成果
この共同研究により、非侵襲的な健康評価手法が確立されることが期待されています。汗という体液を活用することで、日常的に健康状態をモニタリングし、運動の効果や老化状態をリアルタイムで把握できる新しい方法の実現を目指します。
PITTANのCEO、辻本和也氏は「この共同研究を通じて、個々が自分に合った健康管理の手助けをしたいと考えています」と述べ、湿度の高い日本において汗を通じた健康評価の重要性を強調しています。
まとめ
混合医療や予防医療への寄与を目指す本研究が成功すれば、私たちの健康を促進する全く新しいアプローチが生まれることでしょう。自分の体をより深く理解し、日々の生活での選択肢を増やすための一歩として、非常に注目される研究となることが期待されています。今後の進展に注目です。