竹生企画第4弾『マイクロバスと安定』開幕
2025年11月8日、東京・下北沢の本多劇場で竹生企画の新作『マイクロバスと安定』が開幕しました。屈指の個性派俳優、竹中直人と生瀬勝久がタッグを組み、作・演出を倉持裕が手がける本作は、約7年半ぶりの新作公演です。特に、竹中と生瀬による舞台共演を望む旬の俳優たちが集結し、観客に期待感を与えています。
物語は、舞台演出家の成清圭吾(竹中直人)の自宅を訪れる疎遠な友人、戸張修一郎(生瀬勝久)とその娘・早帆(飯豊まりえ)から始まります。成清は演出助手の井岡(戸塚純貴)や、一人芝居の稽古中の女優・真咲(サリngROCK)を含む多彩なキャストが揃います。ここで登場人物たちの背景や心情が徐々に明かされ、それぞれの価値観の違いによる摩擦が生じています。
倉持裕による巧みな心理サスペンス劇は、観客の感情を揺さぶる要素が詰まっています。心情の変化とともに、観客の心も動く展開が生まれ、現実的な状況とSFの要素が交錯するリアル感を醸し出しています。台詞の選び方も鮮やかで、時には笑いを交えたズレの面白さがあります。これにより作品はさらに深みを増し、キャスト一人ひとりの演技が見事に世界観を形成する要素となっています。
竹中直人と生瀬勝久のシーンは特別で、2人の関係性を反映した瞬間に多幸感を感じ、観客に心の余韻を与えます。竹中は役の心情を瞬時に表現し、生瀬は時間の経過を感じさせる重厚な演技を見せ、彼らの存在感は圧倒的です。飯豊まりえは場の雰囲気を作り、特にその鮮烈な存在感は目を引きます。また、戸塚純貴の繊細な演技は観客に深い共感を持たせ、サリngROCKが演じる女優は物語の中で異物感をもたらし、集中力を高めます。浜野謙太はストーリーに不可欠な要素を担い、軽やかに物語を動かしています。
本作の美術、照明、音響、衣裳、ヘアメイクのスタッフワークがリアリティを引き立てる中、栗コーダーカルテットの音楽が現実と非現実の境を浮き彫りにし、心地よい余韻を持たせています。
これまでの東京公演は華やかな日比谷のシアタークリエで行われていましたが、今回は「演劇の街」下北沢・本多劇場に移り、新たな舞台での展開が作品にも影響しているかもしれません。"竹生企画"に期待していたファンに応えるよう、観客の反応に寄り添った柔軟な本作は、これからの公演も楽しみです。
この東京公演は11月30日までの予定で、当日引換券が随時販売中。チケットは公演の開演1時間前から劇場で購入できます。また、12月5日からは兵庫、広島、熊本、盛岡など全国7都市を巡回します。スタッフとキャストが一体となり、観客の反応に応じて変化していくこの作品をぜひ体感してみてください。
公演情報
- - 公演タイトル: 竹生企画第四弾『マイクロバスと安定』
- - 作・演出: 倉持裕
- - 出演者: 竹中直人、生瀬勝久、飯豊まりえ、戸塚純貴、サリngROCK、松浦りょう、浜野謙太
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東京公演: 2025年11月8日(土)〜30日(日)本多劇場
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巡演: 2025年12月5日(金)兵庫、10日(水)広島、13日(土)熊本、19日(金)盛岡、21日(日)久慈、23日(火)青森、27日(土)長岡
公演の詳細やチケット情報は公式サイトをご確認ください。観客が味わう「今」を体験してみてください。