自然音と植栽が生み出す快適なオフィス環境
最近、オフィス環境の質向上を目指すため、「バイオフィリックデザイン」が注目されています。このデザインは、人間や動物が本能的に求める自然とのつながりを重視し、視覚や聴覚の要素を取り入れた環境づくりを指します。特に、植物や自然音を使ったデザインが労働者の心身の健康や生産性を向上させることが科学的にも示されています。
大阪を拠点とする株式会社パソナ日本総務部とパナソニックホールディングス株式会社は、このバイオフィリックデザインを活かした新しいオフィス環境を共同で開発し、日本騒音制御工学会の2025年度「環境デザイン賞」を受賞しました。この取り組みでは、オフィス空間に自然音を取り入れることで、視覚的要素だけでなく聴覚的要素の重要性にも着目し、科学的なデータに基づいて効果を検証しました。
この試みは2020年より始まりました。高級オーディオブランド「Technics」の音響技術を活用し、厳選されたハイレゾ自然音をそのままオフィスに導入。さらに、これらの音が人々に与える心理的影響を研究する中で、植栽との調和が図られた空間作りが進められました。2021年には、日本大学工学部の辻村准教授と連携し、心理印象評価を行い、具体的な改善案が明らかにされました。
得られたデータのもと、視覚と聴覚のバランスを考慮したオフィス環境が設計され、実際にその効果が検証されることとなりました。調和の取れた空間が労働者に快適さを提供し、長期的にウェルビーイングの向上につながることが確認され、これにより受賞が決定されました。
この取り組みの成果は、2026年に稼働を開始した「Technology CUBE」においても活用されています。ここでは、屋久島で独自に収録されたハイレゾ自然音を用い、広大な空間に新たな環境デザインを実現するための実証が進められています。自然音がもたらす心理的な効果への注目が高まる中、今後もこの研究を発展させることで、更なる働きやすい環境作りに貢献する予定です。
このように、パソナ日本総務部とパナソニックHDの協力により構築されたバイオフィリックデザインオフィスは、現代の働く環境に必要な要素を取り入れることで、多くの人々にとって理想的な職場づくりのモデルとなっています。今後の動きにも目が離せません。
受賞の意義と今後の展望
今回の受賞は、両社の取り組みが世間から広く評価された結果とも言えます。特に、視覚と聴覚を融合させた空間創造は、あまり行われてこなかった分野だけに、新しい可能性を感じさせます。
企業が健康経営を進める上で、こうした新たなデザイン手法がどのように寄与するかが期待されます。今後もこの研究成果を生かし、持続可能で快適な働く環境がより多くの企業で実現されることを願っています。