新たな治療選択肢「ヒストトリプシー」
肝腫瘍の治療に関する革命的な技術、「ヒストトリプシー」が日本に上陸しました。グンゼメディカル株式会社は、アメリカのHistoSonics社と独占的な売買契約を結び、この革新的な医療機器を国内で提供することになりました。
「ヒストトリプシー」とは、超音波を使って生成されたマイクロバブルを用いた非侵襲的な治療法です。この技術では、腫瘍を物理的に破砕し、周囲の健康な組織への影響を最小限に抑えながら、正確に腫瘍を除去することが可能です。これは従来の手術や焼灼療法に代わるものとして、多くの患者に新たな希望をもたらすことでしょう。
背景としての課題
従来の肝がん治療では、手術や高周波焼灼などが一般的に行われていますが、高齢や肝機能の低下、腫瘍の位置などにより治療が難しい患者も多く存在しました。そのような患者にとって「ヒストトリプシー」は、切開を伴わないため、身体への負担が大幅に軽減されるため、特に注目されています。
ヒストトリプシーの仕組み
この新技術は、超音波を一点に集め、「バブルクラウド」と呼ばれるマイクロバブルの集まりを作り出します。このマイクロバブルが急激に膨張し、崩壊することにより、腫瘍を的確に破壊。この非侵襲的なアプローチにより、痛みやダウンタイムの軽減が実現されます。
今後の展望
国内では肝細胞がんや転移性肝がんの治療だけでなく、将来的には腎がんや膵がん、前立腺肥大症などにも応用されることが期待されています。既に、アメリカではFDAが「画期的医療機器」と指定し、正式な市場承認を与えています。これにより、多くの大学病院で実績を上げており、実に2,000件以上の治療が行われています。
海外での状況
欧州市場でもCEマーキングの取得が進行中であり、アジア地域でも日本、台湾、シンガポールでの承認計画が立てられています。教育やトレーニング体制を整えることで、医院とのパートナーシップを締結し、医療現場での活用を積極的に推進していく方針です。
グンゼメディカルの役割
グンゼメディカルは1986年に設立され、医療機器の開発・販売を専門とする企業です。今回のヒストトリプシープラットフォーム導入を通じて、患者の身体的負担を軽減し、医療現場の質を向上させることを目指しています。
この革新技術が肝腫瘍治療において新たな光をもたらすことを期待し、グンゼメディカルは医療界との連携を強化していく考えです。患者一人ひとりに合わせた最適な治療法を提供することで、これからの医療の在り方を変革する一助となることでしょう。