ペットと一緒に避難するための新たな取り組みが注目を集める
2025年9月7日、山梨県で開催される関東・東京合同地区獣医師大会では、災害時に飼い主とペットが一緒に避難できる社会を目指す「りく・なつ同室避難推進プロジェクト」に関する基調講演が行われました。このプロジェクトのアンバサダーである歌手の伍代夏子氏が、災害時の避難におけるペットの重要性と、獣医師に対する期待について熱く語りました。
災害時の避難に求められるペットとの同室避難
伍代氏は、プロジェクト立ち上げの背景として、東日本大震災の経験を挙げます。彼女が炊き出し活動を行っていた際、ペットを連れて外にいる若い女性に出会い、「避難所にペットが入れない」との声を聞きました。この経験から、ペットと一緒に避難することができないという現状を何とかしたいとの思いが芽生え、プロジェクトが始まったそうです。
第1部の基調講演では、過去の災害時の事例などを交えて、ペットと共に避難できる施設の増加についても語られました。特に、地元獣医師同士の情報連携により、ペットの預かりを行った成功事例などが紹介され、ペットの健康管理と飼い主の不安を軽減する取り組みの重要性が強調されました。
「その一方で、人口密集地域では避難所のスペース確保が課題となっています。そのため、飼い主の皆さんには、ワクチン接種やしつけ、飼い用品の備蓄をお願いしたい」と、伍代氏は具体的な準備についても言及しました。このような取り組みを通じて、獣医師に対しても、より一層のサポートを求めるよう呼びかけが行われました。
クロストークセッションでの意見交換
続いて行われたクロストークセッションでは、参加者から活発な意見が交わされました。山梨県獣医師会の浅山光一副会長が、避難所におけるペット受け入れの実態についてアンケート結果を報告し、課題と回答の必要性について話しました。特に、飼い主への教育や獣医師会のサポートが求められています。
さらに、群馬県での災害動物医療支援チーム「VMAT」の活動も紹介されました。このチームは、実際の防災訓練や動物救護の取り組みを通じて、多くの市町村と連携しながら啓発活動を行っています。獣医師の専門性が問われる局面での重要性が語られました。
今後の課題と展望
トークセッションでは、獣医師が避難所や防災担当者と連携することの重要性が強調され、伍代氏からは、獣医師が地域の避難所について情報を提供することの大切さが訴えられました。「お医者さんにペットを診てもらえることは、飼い主にとっては非常に心強いことです。獣医師の皆さまに、さらなる力添えをお願いしたい」と、伍代氏のメッセージは参加者の心に響きました。
このように、災害時におけるペットとの同室避難の重要性は増しており、コミュニティ全体での取り組みが求められています。2025年の獣医師大会での議論を通じて、未来のペットと飼い主が安心して避難できる環境の構築に向けた一歩を踏み出すことが期待されます。