企業の通話録音データ活用実態
最近の調査によると、顧客対応を録音している企業の約80%がAIを活用していることが明らかになりました。日本における通話録音の重要性が増していますが、実際の業務効率化には課題が多いことも浮き彫りになっています。なぜ、AIの導入が思ったほどの成果を上げていないのか、その背景を探ります。
調査の背景
多くの企業がコンプライアンス強化やカスタマーハラスメント対策として、顧客との全通話録音を行っています。しかし、録音された膨大な音声データのうち、多くは「ブラックボックス化」しており、十分に活用されていないケースが目立ちます。今、AIによる音声データのテキスト化や要約など、業務での活用が急務となっていますが、現場では「 AI機能を使いこなせていない」といった実態も報告されています。
調査の概要
今回の調査は、株式会社シンカが行ったもので、対象者は通話録音を行っている企業の管理職・責任者1,019名です。調査期間は2026年の3月26日から31日までで、インターネットで行われました。
AIの活用状況
調査結果では、顧客との通話録音データを「積極的に活用している」と答えた企業が37.9%、一部で活用している企業が45.4%と、合わせて約8割が何らかの形でAIを導入していることが確認されました。しかし、その中で「一部活用」に留まっている企業が多く、全社的な運用が未だに実現できていない状況が目立ちます。
最も多くの企業がAIを使用している目的は、長時間の通話の自動要約(41.1%)、通話内容のテキスト化(36.5%)、感情分析による問題判定(35.1%)です。これらの機能は、応対管理を向上させるために非常に重要です。
効率化の現状
ところが、AIの導入が進む一方で、実際に必要な通話内容を確認するためにかかる時間は長いままです。調査によれば、「必要な通話内容の確認に1件あたり平均5分前後」掛かる企業が7割に上ることが分かりました。このような時間の無駄が、顧客へのレスポンス遅延など、業務品質の低下をもたらす可能性があります。
録音データの管理
さらに、顧客との通話を録音している回答者の約83%が「全ての通話を録音している」と答えています。この膨大なデータが「必要な情報を探し出せない」といった新たな問題を生み出しています。管理方法としては、クラウドサービスが49.9%、社内サーバーや通話録音専用機器が続き、音声データの単なる蓄積が検索性を担保していないことが浮き彫りになりました。
課題の抽出
多くの企業が通話録音データを応対品質の向上やクレーム分析のために活用している一方で、必要なデータを探し出せないことが大きな課題となっています。具体的には、必要な音声を探しづらい(31.6%)、テキスト化されていない(28.6%)、内容把握に時間がかかる(28.2%)といった声がありました。これらの問題は、AIを導入していても解決できていないことを示しています。
今後の展望
調査結果から、今後のAI活用強化の必要性が77.4%の企業から感じられていることがわかりました。音声データの取り扱いについては、ただ蓄積するのではなく、必要な情報へ迅速にアクセスできる体制の構築が求められています。これにより、応対品質の向上や業務改善が実現できるでしょう。
このような実態を踏まえ、通話録音データの管理とAI活用には、新たなアプローチが必要です。企業は、音声データをより効果的に活用するためのシステムの整備を急ぐ必要があります。これにより、業務効率の向上だけでなく、顧客対応の質の向上にも寄与することでしょう。