関西発の「三方よし」観光研修とは
近年、多くの国々で観光が経済の成長に寄与する一方、同時に様々な課題も指摘されています。特に開発途上国では、大企業主導の観光開発が地域住民に利益をもたらさず、環境の悪化を招くケースが増えています。そんな状況を打破するための試みとして、2026年1月21日から2月18日の間に実施される、独立行政法人国際協力機構(JICA)関西センターによる観光専門家研修が注目されています。
「三方よし」の精神
この研修の最大の特徴は、近江商人の理念「三方よし」を基にした持続可能な観光のあり方を学ぶことにあります。「売り手よし、買い手よし、世間よし」というこの考え方は、観光業が地域コミュニティにとっても有益であることを目指しています。開発途上国から参加するのは、観光省庁や地方自治体で活動する現役の職員たちです。
地域資源を活かした観光モデル
研修では、実際に滋賀県、大阪府、兵庫県、和歌山県を訪問しますが、特に注目されるのはその地域独自の魅力を発掘し観光資源へと変える取り組みです。
滋賀県の事例:有名観光名所に頼らない
滋賀県は、京都の隣にありながら特に目立った観光資源が少ない地域です。しかし、訪れる外国人観光客にとって魅力的な観光地としての戦略を築いています。たとえば、農家民泊を利用したホームステイ体験では、参加者が地元の家庭での生活を体験し、日本の文化や食を直に学ぶことができます。これにより、地域住民との交流が深まり、単なる観光にとどまらない豊かな体験が得られます。
高校生との交流
また、滋賀県立大津商業高等学校の生徒とのフィールドワークも行われ、最終日には滋賀の魅力を外国人の視点からプレゼンテーションする機会も設けられています。このような取り組みは、地方の魅力を国際的に発信するための新たな手法を提供しています。
大阪府の取り組み:地域全体をひとつの観光体験に
大阪では、東大阪市に位置する「SEKAI HOTEL」が注目されています。このコンセプトは、商店街全体をホテルとしてとらえ、宿泊を商店街の各店舗で行う新たな観光の形を提示しています。食事も特定のホテル内ではなく、地域の飲食店を利用することで、地域経済への還元とともに住民との自然な交流も生まれます。このモデルは、アーケード商店街が少ない開発途上国の参加者にとって、地域コミュニティ機能を活かした観光の新たな視点が得られる機会となります。
終わりに
関西エリアで展開されるこの「三方よし」の観光研修プログラムは、地域の特性を活かした持続可能な観光のモデルケースを作り出す試みです。開発途上国にとっても、観光業の発展に寄与するための多くのヒントが詰まっています。観光がもたらす幸せを地域全体で共有するための、これからの取り組みに期待が寄せられます。