建設業におけるDX導入の遅れと海外エンジニアの活用の重要性
近年、建設業界ではデジタルトランスフォーメーション(DX)が求められていますが、他産業と比較すると、その進展が約1割遅れていることが、ヒューマンリソシア株式会社の調査で明らかになりました。具体的には、建設業におけるDXを「進展している」と答えた企業は、わずか14.2%という結果が示されています。これに対し、約72%の企業がIT人材の不足を実感しており、労働力の確保が急務となっています。
この調査では、345名の建設業界で働くビジネスパーソンに対し、IT人材の現状や海外人材の活用について質問が行われました。中でも特に注目したいのは、DX推進に向けた海外ITエンジニアの必要性です。DXが進展している企業では、83.7%が「海外ITエンジニアの活用が必要」と認識しています。これに対し、全体では8割以上がその採用・検討を進めていることからも、DXを加速させるために海外人材の活用がカギとなることが浮かび上がります。
調査結果のポイント
1. DXへの取り組みの遅れ
調査結果によれば、建設業界におけるDXの進展状況は、非常に厳しいものとなっていることが分かります。「進展していない」と感じる企業は20.6%、「一部のみしか進んでいない」が27.2%という割合で、未だにDXの活用が十分でないことが読み取れます。業界全体で62%がDXに取り組んでいるものの、他の産業が73.6%に対して、建設業は1割程度低い水準にとどまっています。これが、業務の効率化や生産性向上の妨げとなっているのが現状です。
2. IT人材不足の実態
IT人材不足も大きな課題です。「非常に不足している」という回答が15.9%、「不足している」が30.1%、そして「どちらかといえば不足している」が26.1%という結果となりました。合計すると約72.1%が何らかの形でIT人材不足を感じており、多くの企業が人材難に直面していることが分かります。さらに、56.5%が3年後のIT人材不足が拡大するとの見通しを示しており、ますます厳しい状況が続く可能性が暗示されています。
3. 海外ITエンジニアの採用状況
最後に、海外ITエンジニアの採用状況についてですが、「積極採用している」と回答した企業は20.9%でした。採用を行なっているが、「積極的ではない」とする企業も42.8%おり、合計すると63.7%の企業が海外ITエンジニアを積極的に導入しようとしていることが分かります。また、「採用を検討している」という企業も含めると、82.4%が海外ITエンジニアの必要性を感じていると言えます。
まとめ
調査結果からは、建設業におけるデジタルトランスフォーメーションの進展が遅れている理由がIT人材の不足にあることが浮き彫りになりました。そして、解決策として海外のITエンジニアの活用が大きな鍵となることが示されました。業界全体でのDX推進が求められる中、今後ますます海外人材の重要性が増してくることでしょう。建設業界の未来を見据え、海外からの優秀な人材を積極的に受け入れる体制を整えることが急務です。