中堅企業のビットコイン活用...その実態とは
近年、多くの企業が資産管理の新たな手法としてビットコインの活用を進めています。株式会社J-CAMが実施した調査によると、年商300億円以上の中堅企業の52.2%がすでにビットコインを保有しているという結果が得られました。この数字は、ビットコインが単なる投機対象ではなく、実際の資産管理手段として認識されつつあることを示しています。
調査の背景と目的
調査は、年商1億円以上かつ企業資産を持つ企業の経営者を対象に行われました。現状の低金利環境の中で、従来の資金管理方法では十分な運用益が見込めない企業が増えており、新しい資産運用の手法としてビットコインに注目が集まっています。本記事では、この調査結果を元に、企業がビットコインを導入する意義や感じる課題について掘り下げていきます。
現在の資産管理手法はどのようになっているのか
調査によると、企業資産の保有方法として最も多く選ばれたのは「銀行預金」であり、特に年商1億円から5億円未満の企業でその割合は82.1%に達しています。一方で、暗号資産の保有割合は企業規模が大きくなるにつれて増加しており、年商300億円以上の企業では28.7%が暗号資産を保有しています。これは、企業の規模が大きくなるほど、暗号資産を受け入れる傾向が高まっていることを示しています。
懸念される事柄とは?
現在の資産形成において感じられる主な懸念事項として、「インフレによる現金価値の目減り」が41.5%を占め、続いて「預金していても資産が増えない」と答えた経営者が40.3%に達しました。これらの結果は、ただ資産を守るだけでは不十分だという認識が広がっていることを物語っています。
ビットコイン保有に意欲的な企業は?
「自社でビットコインを保有、あるいは保有を検討しているか」という問いに対して、年商5億円以上の企業では、既にビットコインを保有している企業が増加する一方で、年商300億円以上の企業では、その数は52.2%にもなりました。また、関心を持っているが検討を行っていない企業も一定数存在し、特にその理由として「保有するつもりはない」との回答が目立ちました。
ビットコイン導入の障壁
ビットコイン導入についての障壁として最も高いのは「社内合意形成」で38.3%となっており、次いで「市場の未成熟さ」が34.1%、「信頼できるサポート事業者の不在」が32.2%という結果が出ています。特に、ビットコインに対する懸念として「セキュリティ」や「税務処理の複雑さ」があげられています。
求められるサービスとは?
ビットコインを継続的に運用する上で必要とされる支援として最も多く挙げられたのは、「利回りを得られる運用サービス」で32.0%を占めました。また、「ビットコインを担保に融資が受けられるサービス」や「価格変動リスクを抑えるヘッジ機能」も求められていることがわかりました。これからは、保有することそのものを目標にするのではなく、いかに効率的に運用し、収益を上げられるかが鍵となります。
まとめ
全体として、今後もビットコインを活用した資産管理の需要は増加することが予測されます。その一方で、実効性を持たせるためには企業内部での合意形成や、信頼できるサポート体制の確立が急務です。今後、制度や税制の整備、社内での専門知識の強化が求められるのは明らかです。今後の動向が注目されます。