新たな和楽器の未来を体感!
和楽器の一つである箏には、長年にわたり象牙が使用されてきました。しかし、環境問題や動物保護の観点から、象牙の使用が制限される中、新たな代替素材による音楽の可能性が広がっています。本記事では、竹から作られるセルロースナノファイバーを用いた筝爪の特性と、その実力の確認を目的とした「象牙を使わない箏コンサート」に迫ります。
1. なぜ箏に象牙が必要だったのか?
箏や三味線、琵琶などの和楽器には、伝統的に象牙で作られたパーツが利用されています。特に筝爪や弦支えの筝柱には、その音色を高めるために象牙が使われてきました。一方で、安価なプラスチック製品も販売されているものの、音質にこだわるプロ奏者たちは象牙製を選ぶ傾向があります。
ですが、1990年以降、ワシントン条約により象牙の国際取引は禁じられ、さらに2016年には国内販売の禁止が推奨されました。これにより、河の環境で象牙が入手しづらくなり、プロの演奏者たちはその音楽表現に懸念を抱くようになりました。このため、より持続可能で高品質な代替素材の開発が急務です。
2. 新素材による音響の比較分析
Sera Creationsによって開発された新しい筝爪は、8年の研究を経て、セルロースナノファイバーを基に製作されています。プロの音響研究者や演奏者との協力によって、さまざまな材質と設計の音質分析が行われました。
音響の分析結果によると、特に製品番号4の箏爪は、象牙に非常に近い音質を実現していることが確認されました。この結果からは、新素材の可能性が大きく広がっていることがわかります。音色の測定データは後に音楽界にも新たな流れを生むかもしれません。
3. 新しい価値観を提案するコンサート
その新素材の開発を受けて、認定NPO法人野生生物保全論研究会は「象牙を使わない箏コンサート」を開催します。このイベントは、新素材の音色を聴くことができ、さらに象牙の代替品が持つ可能性を広めることを目的としています。
コンサートの主な目的は3つです。1つは新素材による箏爪が象牙製品に近づいていることを示すこと、2つ目は象牙の音色を絶対視する価値観から新たな文化を提案すること、3つ目はアフリカの伝統打楽器とのコラボレーションを通じて「象牙を使わない」という選択が世界の象牙取引の禁止とつながることを求めるものです。
このコンサートには、さまざまなプロの演奏家が参加し、その音色は観客の心に強く響くことでしょう。
コンサートの詳細
「象牙を使わない箏コンサート」は2025年10月31日(金)に東京ウィメンズプラザホールで開催されます。夕方6時半からの開始で、入場は17時から可能です。参加希望者は事前にチケット購入が必要となります。
このイベントでは、先進的な音楽文化が、新たな価値観と共に生まれつつあることを実感できる貴重な機会となるでしょう。新素材による和楽器の未来をぜひ体感してみてください。