しまむら株主提案がもたらす今後の経営戦略と資本政策
2025年5月に予定されている株式会社しまむらの第72期定時株主総会において、カタリスト投資顧問株式会社が提案した株主提案が注目されています。この提案は、同社が運用するマネックス・アクティビスト・マザーファンド(MAMF)が主導しており、しまむらの経営方針や資本配分に大きな影響を与える可能性があります。
しまむらのビジネスモデルと市場での立ち位置
株式会社しまむらは、独自のビジネスモデルを基盤に、競合他社との差別化を図っています。高い商品力と販売力を兼ね備え、安定した成長を続けている同社は、強固な事業基盤を背景に高いキャッシュフローを創出しています。これを背景に、株主還元政策の向上が求められているのです。
以前の株主還元方針とその改善
これまで、しまむらはDOE(株主資本配当率)の引き上げを目指し、配当方針を従来の2.0%から3.0%へと改善しました。しかし、カタリスト投資顧問は、さらなる配当の増加が必要であると主張しています。具体的には、DOEの配当率を5.0%に設定し、安定した株主還元を確立することを目指しています。
昨今の経営環境とその対策
最近の中期経営計画では、しまむらは「売上高の6ヶ月分の手元資金」が必要だとし、財務管理の厳しさを反映しました。しかし、その後実際には「4ヶ月分」の手元資金で十分であるとの見解に至ったようです。この余剰資金は、今後の投資や配当、自己株式取得に対する議論を促進しています。
手元資金の現状と利用法
2025年2月期末時点では、しまむらの手元資金が売上高の5ヶ月分に相当する560億円に達しています。この状態が続くと、投資計画や配当方針の再評価が必要であり、さらなる株主還元が期待されています。実際、経営陣は「現在のキャッシュ積み上げは不要」との考えを示し始めています。
今後の株主提案とその意義
今回の株主提案は、配当性向60%の安定配当と、当期純利益の40%に相当する自己株式取得を通じて、総還元性向100%を目指すというものです。カタリストは、これによりROE(自己資本利益率)を現行の目標である9.0%以上に引き上げる可能性があると考えています。
具体的な提案内容
提案された議案には、剰余金処分と自己株式取得の件が含まれています。剰余金処分に関しては、年間の配当金総額を配当性向60%に相当する金額に設定し、自己株式取得に関しても160億円の規模で実施を検討しています。これにより、しまむらの過剰な手元資金水準の是正が期待されます。
しまむらの未来に向けて
カタリスト投資顧問は、様々なステークホルダーとの対話を通じて、真のコーポレートガバナンス改革を推進する方針です。この提案が受け入れられた場合、しまむらの経営効率の向上や、さらなる企業価値の向上が期待されます。企業が成長を続ける中で、どのように株主還元政策が進化するのか、注目が集まります。たとえ株主提案が実現しても、その後の経営戦略や市場の反応も重要な要素として、しっかりとした議論が必要でしょう。