住環境を変える、健康を守る
積水ハウス株式会社が2022年から進めている「ゼロ次予防」健康住宅の研究は、住環境と健康の関係を疫学的観点から明らかにすることを目指しています。特に、住まいにおける換気量がどのように疲労感や頭痛に影響を及ぼすかという点に注目した研究が、新たな成果を挙げています。
ゼロ次予防とは?
「ゼロ次予防」という言葉は、健康を意識しない状態でも、自然に健康的な生活習慣を実現することを目指す考え方です。また、この研究が特に注目されている理由は、新型コロナウイルスの影響で換気の重要性が再認識されたことにあります。研究結果によると、住まいにおける人数に応じた換気量の増加が、疲労感や頭痛を軽減する可能性が示されました。これは、換気と健康の関係性に関するエビデンスが極めて珍しいものであり、今後の住まいづくりに大きな影響を与えるでしょう。
換気の必要性
住まいの換気は、化学物質や生活に伴う臭いを室外に排出する役割があります。2003年から施行されている住宅の換気基準では、部屋の半分の空気が1時間に入れ替わる換気が義務付けられています。これは、室内の空気質を保ち、シックハウス症候群のリスクを低減するためです。ただし、換気量が多すぎると室内が乾燥することもあるため、冬期には加湿が必要になります。
研究結果の概要
文中で報告された研究では、居住者の人数や住まいの換気設備によって、1人あたりの換気量が10m³/h以上の環境では疲労感や頭痛などの症状が軽減されることが確認されました。特に、換気量が30m³/h以上の住宅では、新型コロナウイルスやインフルエンザの罹患率が低下する可能性が示唆されています。この結果は、換気設備の重要性を再認識させるもので、今後の住宅設計における換気量設定の重要性が浮き彫りになりました。
今後の展開
積水ハウスは、今後も研究を重ね、住環境が健康に与える影響を解明していく考えです。具体的には、1人当たりの換気量30m³/h以上を考慮した『SMART-ECS』や、化学物質配慮の『Airkis』などの商品を提供しています。人が一生涯で最も多く取り入れる物質は「空気」です。そのため、きれいで新鮮な空気の中で生活できることは、健康的な生活のために非常に重要です。住宅業界における新たなスタンダードを模索する姿勢が、今後の住宅選びにおける重要な要素となるでしょう。
これからも積水ハウスの研究成果に注目し、快適で健康的な住まいを実現するための情報をお届けしてまいります。健康住宅の進化は、私たちの生活を変えていくことでしょう。