新たなゼオライト技術でCO₂回収の未来を切り開く！

近年、環境問題への関心が高まる中、特にカーボンニュートラルの実現に向け、多くの研究が進められています。関西大学環境都市工学部の田中俊輔教授を中心とした研究グループは、CO₂を効率的に分離回収する新しい技術を開発しました。この技術は、従来の金属有機構造体（MOF）とは異なる仕組みでの「選択的捕捉」が可能となっています。

ゼオライトの新機能

研究グループは、堅牢で産業利用が進んでいる無機物「ゼオライト」に着目し、特定の圧力条件下で内部のカチオンが位置を変えることによってCO₂を「ゲート型吸着」する新しい機能を発見しました。この現象は、これまでMOFで特異的に確認されていたものであり、ゼオライトでの実証は初めての成果です。

MOFのように構造自体が柔軟に変形するのではなく、ゼオライトの内部のイオンの移動によって、CO₂が細孔内に入り込みます。この仕組みにより、安価で安定性が高く、長期間にわたり使用できる吸着材としての可能性が示されています。

技術の利点

この新しいゼオライトは、少ない圧力差でのCO₂の吸着・脱着が可能です。また、水蒸気を含む排ガスに対しても高い性能を維持できるとしています。これにより、省エネで運転が行え、装置の小型化にも寄与するため、産業界にとって非常に魅力的な技術となるでしょう。特に、中小規模の排出源からのCO₂を効率的に分離回収できるシステムの実現が期待されています。

カーボンニュートラルへの貢献

カーボンニュートラルを目指すためには、大規模発電所だけでなく、無数の中小規模の排出源の管理が不可欠です。本研究によって、高性能かつコンパクトなCO₂回収装置の開発が現実味を帯びてきました。今後は企業との共同研究を進め、実用装置の開発や材料設計の最適化を図る予定です。

田中教授は、『この研究成果は、北川先生のMOFの研究からのインスピレーションによるもので、ゼオライトによる「ゲート型吸着」は産業用途において大きな可能性を持つ』と話しています。これからの社会において、ゼオライト技術が一層注目されることは間違いありません。