「十二人の怒れる男たち」がついに開幕
東京・サンシャイン劇場で舞台「十二人の怒れる男たち」が3月26日に開幕しました。この作品は、ある殺人事件を巡る陪審員たちの葛藤を描いた法廷劇の傑作です。
背景とテーマ
物語はある殺人事件の陪審員室が舞台です。18歳の少年が、父親を殺した罪に問われています。少年が有罪となれば、死刑が下される可能性が高い中、陪審員たちは一致した判決を下す必要があります。しかし、最初の投票では11人が「有罪」と主張する中、ただ一人の陪審員8番が「無罪」に票を投じます。
この異議申し立てが、陪審員たちの意識を変え、証拠の再検証が始まります。更なる議論が紛糾する中で、彼らは抱えていた先入観と向き合うことになります。個々の背景が浮き彫りになり、物語に深みを加えていく様子は、まさにサスペンスフルな展開です。
新たな演出と訳
野坂実が演出を手掛けるこの新たな舞台版は、これまでの青井陽治による訳とは異なり、小田島恒志と小田島則子が原作戯曲に基づいて新たに翻訳したものです。これにより、オリジナルの魅力を重んじたものとなっています。
初日会見で野坂は「新訳による第一作」としてこの舞台を登場させる喜びを語りました。観客は新しい解釈と視点を通じて、作品を新たに体験できるのです。
キャストの魅力
豪華なキャスト陣も話題です。地に足のついた理論派として陪審員8番を演じる富永勇也は、時折見せる人間らしい感情が光ります。彼と対立する有罪を主張する3番の日向野祥、10番の小波津亜廉は、強い信念を持ちつつも徐々に揺れ動く姿勢が印象的です。
登場人物それぞれが演じる個性的なキャラクターは見所で、陪審員たちの背景や意見は多様性に富んでいます。特に、宮城紘大の陪審員12番や細貝圭の7番、朝田淳弥の2番、宮崎卓真の6番など、各々が持つ特有の体験を通じた演技が物語を引き立てています。
新たな視覚表現
演出では、新セットの洗面所を舞台に利用し、陪審員たちの内面の葛藤や素の部分が描かれています。彼らの心情がストレートに伝わる演出は、観客を物語へ引き込む要素となっています。
公演日程とチケット情報
この公演は2025年3月26日から30日までの期間で行われ、チケットは各種ランクで販売されています。リピーター特典もあり、何度見ても楽しめる作りになっています。ぜひ、この名作を生でご体験ください。
結論
「十二人の怒れる男たち」は法廷劇という枠を超え、観客に人間性や倫理的な問いを突きつける作品です。再演により新たに生まれ変わったこの舞台をぜひお見逃し無く。