日本の医療史を支える公衆衛生の第一人者、今村知明氏に迫る！

医療界の光、今村知明氏

2023年12月号の『ドクターズマガジン』では、日本の公衆衛生の発展に多大な貢献をしてきた今村知明教授にスポットライトを当てています。彼は奈良県立医科大学の公衆衛生学講座の教授として、医療情報学の専門家でもあります。今回はその道のりを詳しくご紹介します。

今村氏の医療人生の始まり

今村氏の医療の道は大学時代から始まりました。先見の明を持って、彼は世界を旅し、医療情報学の専門家、高橋泰氏との出会いを契機に、医療情報の世界に深く踏み込むことになります。彼はその後、麻酔科や救命救急センターでの研修を経て、東京大学大学院で人工知能研究を体系的に学びました。

このような基盤があったからこそ、今村氏は後に数々の重要な医療事件に関与することになります。

薬害エイズやO157食中毒事件と向き合う

1990年代、日本で発生した薬害エイズ事件やO157食中毒事件は、医療界に衝撃を与えました。今村氏はこれらの問題に最前線で対応し、厚生省に入省した後もその役割は続きました。彼は、文部省の学校健康教育課に配属され、エイズ教育や心的外傷後ストレス障害（PTSD）を抱える子どもたちのケアに尽力しました。この時期、彼は医師だけでなく、原告やマスコミと対峙することもありましたが、持ち前の粘り強さで困難を乗り越えていきました。

国民の健康を守るための取り組み

さらに、彼は再び厚生省に戻った後、雪印集団食中毒事件やBSE（牛海綿状脳症）など、数多くの食品事件に関わり、これらの問題解決に寄与しました。特に、彼が担当した事件は、新聞の一面を飾るほどのインパクトがありました。

「小医は病を癒し、中医は人を癒し、大医は国を癒す」という言葉を信条とする今村氏は、環境を整え、国全体を癒すことを目指しています。彼はこれまでの経験を生かし、若い医師たちがこの志を持ち続けられるよう、教育にも力を注いでいます。