ピーカンナッツで生まれ変わる農業の未来
陸前高田市から始まった国産ピーカンナッツプロジェクトが、2025年に東京で開催される大阪・関西万博にて初めてその姿を明らかにします。このプロジェクトは震災後の農業復興を目指し、持続可能な農業モデルを構築することを目的としています。
プロジェクトの概要と背景
ピーカンナッツに注目したのは、東京大学の生産技術研究所と大学院農学生命科学研究科が中心となったプロジェクトチームです。これまでの農業モデルから脱却し、少ない労力で持続的に収穫できる作物としてピーカンナッツが選ばれました。その理由は、このナッツが米国南部で広く栽培され、1本の木から200年以上も収穫が期待できる特性を持つためです。
2017年にプロジェクトが本格始動し、同市内の農業再生を目指す活動が始まりました。震災によって耕作放棄地が増え、雇用の場も減少した地域で、新たな生業を育むための試行錯誤が続けられています。
試験栽培と2024年の初収穫
2020年には、横田町と米崎町の2か所で9品種のピーカンナッツの試験栽培が行われました。これにより、陸前高田市に適した品種が見つかるかどうかが期待されています。更に、苗木の生育管理はドローンを利用して行われ、2024年に初めての収穫を迎える予定です。
国内初のナッツ産業6次化
このプロジェクトは単なる農業への復帰にとどまらず、ナッツの産業全体の振興へとつなげています。2022年には加工工場を併設した「サロンドロワイヤル タカタ本店」が設立され、ナッツの栄養価を活かした商品に加え、殻を利用した商品も開発されています。2023年には自動殻剥き機を導入し、より効率的に商品の加工が可能となり、国内の新しい食文化創造に貢献しています。
万博での展示計画
2025年の大阪・関西万博では、陸前高田のピーカンナッツプロジェクトが展示されることが決まりました。この展示は震災復興と農業再生を結びつけたモデルケースとして訪れる人々にとって新しい視点を提供するものであり、来場者にはピーカンナッツを通じて地域の未来について考えるきっかけを与えます。
万博の名称は「宴~UTAGE~」、展示内容には「ピーカンナッツによる国内の農業再生と地方創生」と題され、具体的な取り組みや成果が紹介されます。展示期間は2025年8月4日から8月10日で、日々の生活から地域の未来を見つめ直す良い機会となるでしょう。
代表のコメント
代表取締役の前内眞智子氏は、関わる全ての人々や地域にとってピーカンナッツが新しい道を切り開く存在になってほしいと願っています。彼女は100年後の未来にもこのナッツが実を結ぶことを夢見ており、万博を通じて全国、さらには世界にその可能性を広げることを期待しています。
まとめ
陸前高田市発のピーカンナッツプロジェクトは、震災という困難を乗り越え、持続可能な農業の新たな形を模索しています。その努力が実を結び、万博で多くの人々にその魅力を伝える場となることが期待されます。地域社会の未来に光をもたらすこのプロジェクトは、私たち一人一人が彼らの取り組みに参加するチャンスでもあります。農業と地域振興の新たな道程にぜひご注目ください。