看護師不足が深刻化する中、賃上げと働き方改革が求められる現状とは

医療機関における看護師不足とその対応策

はじめに

医療現場では、看護師不足が深刻な問題となっています。株式会社エス・エム・エスが実施した最新の調査によると、約78.4％の医療機関が看護師の不足感を抱えていることが分かりました。この現象は、特に訪問看護ステーションや病院で顕著です。これに対して、各事業者がどのような対策を講じているのか、詳しく見ていきましょう。

現状の把握

調査結果によると、看護師の超過勤務時間は「1時間以上5時間未満」が最も多く、一方で介護施設は相対的に少ないとしています。病院では、看護師の負担が増加し、訪問看護ステーションでは事業者によって働き方にはばらつきがあります。また、看護助手や介護助手が十分に配置されていないとの声も多く、ここも一つの大きな課題です。

賃上げとその影響

2024年度の賃上げを行った医療機関は67.2％に達しており、賃上げを実施しない理由には診療報酬改定による影響が指摘されています。これにより、賃金の見直しが進む一方、経営が困難なケースも少なくありません。この賃上げは、看護師の定着を促すうえで重要な要素ですが、実際には給与の増加が十分とは言えないのが現実です。

採用活動の現状と課題

調査では、看護師の採用活動において「応募条件の緩和」や「労働条件の見直し」が行われているものの、採用にかかる費用は増加していることがわかります。また、求人票の作成においても独自性の欠如が課題視されています。これは、他法人との競争を考える上でも非常に重要なポイントです。

退職者の増加傾向

一方で、看護師の退職者は増加傾向にあり、退職理由としては「健康上の理由」が最も多く、次いで「定年退職」や「同僚との不満」が挙げられていました。ただし、これは事業者側が抱くと考えられる理由とは乖離があります。実際には、上司との関係や長時間勤務が退職の大きな要因であることがほぼ全てのアンケートで見受けられます。