アズスタッフが新たに展開するネパール人ドライバー教育事業
近年、日本の運送業界は人手不足が深刻な問題となり、その解決策として外国からの人材採用が注目されています。特に2024年3月、特定技能制度に自動車運送業が追加されることで、さらに多くの外国人ドライバーが日本での就業が可能になる中、株式会社アズスタッフはネパール人を対象にしたドライバー教育事業を開始しました。
現状の課題と教育事業の背景
現在、特定技能制度の自動車運送業はまだ多くの企業には浸透しておらず、リスクへの懸念や実績データが不足していることが大きな要因となっています。また、採用国としての選定も難しく、東南アジアを中心に17カ国からどの国の人材を選ぶか迷う企業が多いのが現実です。
アズスタッフではこの課題を解決するため、特にネパールに着目しました。ネパールは日本への就業希望者が多く、運転スタイルなどの環境が日本に近いため、円滑な教育が可能です。そして、同国は宗教的にも比較的開かれた国で、日本人への理解も深いため、双方にとってメリットがあります。
教育プログラムの詳細
アズスタッフは、日本の元自動車教習員である黒岩紘司氏をネパールに派遣し、現地での40時間の学科教習と技能教習を提供します。これは日本で新たに免許を取得する際に必要な学習時間と同等以上であり、質の高い教育が受けられる体制を構築しています。
ネパール国内での教育は、Kizuna H.R. Solutions Pvt. Ltdと提携し行います。この会社は、ネパール国内で9つの日本語学校を運営し、常時2000人以上の学生に日本語を教えています。さらに、JPT日本語能力試験の実施が可能な唯一の機関でもあるため、十分な日本語力を備えたドライバーを育成することが期待されています。
これまでの成果と今後の展望
すでに5つの運送企業がアズスタッフを通じて30名以上のネパール人ドライバーを内定させており、今後の面接に向けて50名以上が入国の準備を進めています。
アズスタッフの谷口愛斗室長は「私たちが重点的に教育するのは、技術だけでなく、人としての思いやりや誠実さも重要です」と語っています。これは、日本の運送業界が求めるドライバー像に寄り添った教育方針です。
安全運転を生む教育の重要性
黒岩紘司教官は「交通ルールを理解し、安全な運転を実現することが命の重さを知る上で非常に重要です」と強調しています。彼の豊富な指導経験をもとに、運転技能だけでなく、道徳的価値観も組み込んだ教育が進められることで、日本で安心して活躍できるドライバーを育成していく意義があります。
まとめ
アズスタッフのネパール人ドライバー教育事業は、運送業界の人手不足問題に対して、新たな解決策を提供する一助となるでしょう。質の高い教育プログラムと、日本での運転業務に必要な道徳教育を兼ね備えた取り組みが、今後の成功に繋がると期待されています。日本の運送業界が必要とする人材を、新たな国から迎え入れられる日が待たれます。