入れ歯に関する調査の実施背景
日本が超高齢社会に突入する中、高齢者の生活の質(QOL)を向上させることが重要な課題になっています。その中で、入れ歯は高齢者の食生活やコミュニケーションに大きな影響を与える要素です。フィールトラスト株式会社、日本ゼトック株式会社、そしてエンタケア研究所の3社は、入れ歯に関して本人および家族が抱える意識や課題についての調査を行いました。この調査を通じて、入れ歯の実情や課題を明らかにし、今後の製品改善やサービス開発に生かすことを目的としています。
調査の概要
この調査は、インターネットを利用した形式で実施され、約7万人をスクリーニングした結果、800人を対象に行われました。実施日程は、2025年の2月12日から14日のスクリーニング調査、及び本調査は14日から17日までの間に行われました。
調査結果のハイライト
調査結果から、入れ歯に対する悩みは多岐にわたることが明らかになりました。特に、母親層(義母)が63%と高い悩みを抱えていることが分かりました。続いて父親層(義父)が43%と、家族の中での悩みが顕著です。
家族視点で困っていること
調査では、具体的な悩み事が5つ挙げられています。1位は「だんだん合わなくなってきた」(133件)、2位は「食事中に食べにくさ・違和感」(118件)、3位は「隙間にゴミが入る」(97件)、4位は「ズレやすい/グラグラする」(90件)、5位は「入れ歯を入れると歯茎が痛い」(69件)と続きます。特に、「合わなくなって外して食べている」という実際の声も寄せられており、その影響の大きさが伺えます。
入れ歯ユーザーの悩み
入れ歯を使用する本人の悩みも調査され、「老いた実感」や「歯がない不安」などの心理的な課題に加え、「隙間にゴミが入る」「洗浄が面倒」「食事中の違和感」といった実用的な課題も多数挙げられました。このような悩みは、日々の生活にも相当な影響を及ぼします。
費用感
興味深いことに、入れ歯の費用感についても調査されています。「保険適用の部分入れ歯」で79%が「5万円未満」と感じている一方で、「自費診療」の方に目を向けると、「10~20万円」の費用がかかるという高価格帯の意識も存在しました。理想的な価格帯についても67%が「5万円未満」を希望しています。
企業のコメント
調査結果に基づき、フィールトラスト代表取締役の野田氏は、「合わない入れ歯に慣れてしまい、それが当たり前になっている現実がある」と指摘しました。入れ歯は、噛めることが食事を楽しむためだけでなく、人とのコミュニケーションにも直結しています。そのため、自然で安心して使える入れ歯の提供が求められています。
一方、日々の口腔ケアに関わる日本ゼトックの佐藤氏は、「良好な口腔環境の維持は高齢者のQOL向上の重要な要素」と述べ、入れ歯の重要性を再認識しました。入れ歯を正しく選ぶことで社会的な活動の維持にもつながるとのことです。
CLOUD-FITの紹介
今後の取り組みとして、フィールトラストでは、次世代型入れ歯「CLOUD-FIT」を2025年4月より提供開始予定です。この入れ歯は、従来の型に見られがちな「目立ちやすさ」「フィット感の悪さ」「高額な費用」といった課題を解消すべく設計されています。価格は79,800円(税込)からの設定で、自然な装着感と審美性を実現しています。
最後に
調査を通じて明らかになった高齢者の入れ歯に対する悩みは、本人だけでなく、その家族にとっても大きな問題であることがわかりました。今後も3社は、さらなる製品開発や情報提供を通じて、高齢者とその家族のQOL向上に努めていく所存です。安心して食べて、笑い合える日々を送れるために、入れ歯の改善に向けた取り組みが必要です。