根管治療の重要性と治療に対する誤解を解消しよう

最近、一般社団法人日本歯内療法学会が行った調査によると、20代から50代の男女の中で、根管治療に関する認知度は驚くことに4割以下となっています。この結果は、根管治療という重要な治療法が一般市民の間でどれだけ誤解され、また無視されているのかを示唆するものです。

根管治療とは？

根管治療は、虫歯が進行して神経に達した際に行われる治療で、歯を抜くことなく、むしろ歯を保存することを目的としたものです。治療の過程では、感染した神経や組織を取り除き、根管を消毒して密封します。適切に行われた場合、治療を受けた歯は20〜30年も持つことがあります。

調査を通じて約7割の対象者が根管治療について「知らない」と答え、実際に受けたことがある人も約2割にとどまります。このような状況では、たとえ重度の虫歯や外傷で神経が侵された場合でも、適切なタイミングで治療を受けることが難しくなります。

根管治療のメリット

根管治療を受けた人々からは、「歯を抜かずに済んだ」という声が最も多く寄せられています。その他にも、「しみる感じがなくなった」「治療後の違和感が少ない」との意見があり、自分の歯を維持することは、噛み心地や日常生活におけるQOL（生活の質）の向上に繋がります。

根管治療に対する理解が不足している方が多い中、治療に対するマイナスイメージも少なくありません。多くの人々が「痛そう」「怖い」と先入観を持っており、高額な治療費に対する不安も抱いています。保険が適用される場合の数千円から1万円程度の治療費に対し、自費診療となると数万円から十数万円かかる場合があるため、誤解が生じるのも無理はありません。

誤った認識がもたらすリスク

さらに、根管治療を行わないことで生じるリスクについても認識が乏しいことが、調査によって明らかになりました。約4割の人が「根管治療を受けないことのリスクがわからない」と答えており、具体的には「痛みや腫れの再発」「歯を失う可能性」といった問題が発生することがあります。これらの認識がなければ、患者は必要な治療を見極めることができません。

歯科医師によると、患者が持つ不安を軽減するためには、より痛みの少ない治療法を採用することや、視覚的な資料を使った説明、治療内容についての丁寧な説明が重要です。実際に、85%の歯科医師が患者の不安を感じており、多くの医師が治療への理解を深める努力をしています。

まとめ

根管治療は、歯を失わずに済むための非常に重要な治療法ですが、その認知度は依然として低いままです。誤解や不安が根強い中、私たちが求めるべきは正しい知識と情報提供です。根管治療は患者のQOLを向上させるための第一の選択肢として、正しく理解されるべきであり、この意識改革が求められています。日本歯内療法学会は、この重要な問題を解決するための取組みを進めています。