Obicetrapibの効果
2025-11-27 12:12:28

新たな心血管疾患治療薬Obicetrapibの有効性が証明される

新たな心血管疾患治療薬Obicetrapibの有効性が証明される



2025年7月3日、米国の著名医学誌『The New England Journal of Medicine』に、国際共同試験「BROADWAY」の結果が掲載されました。この研究では、高リスクの心血管疾患を抱える患者に対する新薬Obicetrapibの安全性および有効性が評価されました。この試験に参与したのは、大阪医科薬科大学の斯波真理子教授を中心とするチームです。

研究の背景



心血管疾患は、全世界で主要な死亡原因の一つであり、特に動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)の予防はますます重要な課題とされています。治療法の一つとして、低密度リポタンパクコレステロール(LDL-C)の低下が挙げられます。しかし、多くの高リスク患者は、最大耐容量のスタチン療法やエゼチミブ、PCSK9阻害薬を組み合わせても、推奨されるLDL-C値(<55 mg/dL)に到達できていません。そこで注目すべきは、Obicetrapibと呼ばれる高選択的CETP阻害薬です。この薬は、従来のCETP阻害薬とは異なり、高い水溶性を持ち脂肪組織への蓄積が少ない特徴があります。

研究概要



BROADWAY試験は、動脈硬化性心血管疾患または家族性高コレステロール血症(HeFH)を抱える2530名の患者を対象に行われ、最大耐容量の脂質低下療法の下でObicetrapib(1日10 mg)またはプラセボが365日間投与されました。患者の平均年齢は65歳で、そのうち34%が女性、17%がHeFH患者、89%がASCVDの患者です。主要評価項目は、投与84日目におけるLDL-Cの変化率でした。

主な結果



試験の結果、Obicetrapib群ではLDL-Cが29.9%低下したのに対し、プラセボ群では2.7%の上昇が見られ、両群の差は−32.6ポイント(P<0.001)という顕著な結果となりました。さらに、参加者の51%がLDL-C <55 mg/dLに到達したことから、Obicetrapibの効果が明らかになりました。併せて、アポリポタンパクBは−18.9%、non-HDL-Cは−29.4%、Lp(a)は−33.5%の低下が報告されました。有害事象の発生率は、Obicetrapib群59.7%、プラセボ群60.8%と、両群で大きな差は見られませんでした。

意義と展望



この研究は、ホルモン調整薬や最新の脂質低下薬に続く新たな治療オプションとして、Obicetrapibの可能性を示唆しています。既存の治療法で十分な効果が得られない患者に対して、補完的で経口投与可能な選択肢として位置づけられることでしょう。また、現在、長期心血管アウトカム試験「PREVAIL試験」が進行中であり、今後の臨床的な成果が期待されています。

新しい治療法の開発は、心血管疾患の予防と治療において、さらなる進展をもたらす可能性があります。Obicetrapibの登場により、より多くの患者が適切な治療を受けられることが期待されています。


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