岡山大学が始動するヘリウムリサイクルネットワークの全貌
国立大学法人岡山大学は、2025年に「中四国・播磨ヘリウムリサイクルネットワーク(通称:中四国・播磨HeReNet)」を立ち上げることを発表しました。このプロジェクトは、研究活動に欠かせない液体ヘリウムの安定供給を目指します。主にオンラインで4回にわたり開催された学外説明会では、大学・研究機関・高専などの8つの連携機関からの関係者が参加しました。
ヘリウムの現状と課題
液体ヘリウムは、国内で生産されず、すべて輸入に依存しています。最近のコロナ禍や国際情勢の影響を受け、価格が高騰し、大学や研究機関では入手困難な状況が続いています。この取り組みは、そうした課題に対する解決策の一つです。岡山大学は、既に所有しているヘリウム液化装置を通じて、学内でのヘリウムの循環利用を実現しています。
新たなリサイクル体制の構築
「中四国・播磨HeReNet」では、連携機関から発生したヘリウムガスをガスバッグで回収し、圧縮機を用いてガスボンベに詰め、岡山大学に運ぶ新たなシステムを導入します。これにより、広域的なヘリウムリサイクルの実現を目指します。このヘリウム液化装置は高額で、運用には高度な技術が必要であるため、個々の大学や高専が整備するのは難しいとされています。
地域のハブとしての岡山大学の役割
岡山大学は地域における中核大学として、他の大学や研究機関と協力しながらヘリウムの供給を行うことで、研究開発の基盤を広げることが期待されています。さらに、文部科学省の「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」にも採択されており、地域の科学技術やイノベーションの発展に寄与することが求められています。
今後の展望
このプロジェクトが実現することにより、近隣の大学や研究機関、企業への液体ヘリウムの供給が進み、国内の研究力強化や新たなイノベーションの創出に寄与するでしょう。岡山大学の那須保友学長は、地域の研究基盤強化を目指して、他大学との連携を進めていく意向を示しています。
最終的には、液体ヘリウムの供給体制を確立し、より多くの研究者がその利用可能性を享受できる環境を整えることで、「知と技のメッカ」としての役割を果たすことを目指します。
このような取り組みは、日本全体の科学技術の進展にもつながり、ぜひ今後の動向に注目していきたいと思います。