古琴の音色に酔いしれる
2025-04-25 21:58:23

千年の音楽文化を現代に届ける、古琴奏者・史雲龍氏の演奏会

4月20日、東京・根津美術館で特別な音楽イベントが行われ、中国の古楽器「古琴」を奏でる虞山派の古琴家、史雲龍(し うんりゅう)氏が登壇しました。コンサートは「虞山物語」と名付けられ、満席となった聴衆は彼が届ける千年の古韻に心を奪われました。

古琴は3000年以上の歴史を有する楽器で、古代から現在まで数多くの文人や文化的修行者によって愛されてきました。この楽器は、単に音楽を奏でるためのものではなく、心身の修養や精神的な成長の道として扱われてきたのです。孔子自身も古琴を通じて徳を高めることを重視し、大唐時代の詩人・李白もその美しい音色を詩の中で表現しました。さらに、仏教の僧侶である空海も、古琴の技法を学び、日本に持ち帰り、精神的な修行に活用したと言われています。

そんな伝統の中で、史雲龍氏は赤い唐服を身にまとい、観客の前に現れました。彼の姿を見た瞬間、まるで大唐の詩人李白が目の前にいるかのような錯覚を覚えます。氏は手元に広げた琴学の文献を元に、観客に向けて優雅に琴の物語を語り始めました。琴の音色は静かで奥深く、会場の空気を包み込み、観客はその瞬間に時代を超えた体験をしました。

特に印象的だったのは、会場に集まった視聴者の姿です。茶道や漆芸などの日本の伝統文化を愛する人々が多く、その琴の音に感動しつつ、古の文化の力を体感していました。

公演が終わると、観客の中から感慨深い感想が続々と寄せられました。「史先生の琴の音に触れて、大唐の繁栄した光景が目の前に広がるようだった。その壮大さと深遠さに心を奪われた」と、ある観客が語ります。また、過去に鎌倉で史氏の演奏を聴いたことがある観客は、今と当時の演奏の違いを指摘しました。「鎌倉での演奏は奔放だったが、今回は一音一音が心を静めるように響き渡った。まさに静かに酒を嗜むような絶妙な演奏だった」と述べました。

さらには、「『流水』が奏でられた時、本当に水の流れを感じた。講堂全体が水に満たされているようで、心がその流れに合わせて揺れた。その瞬間、極めて静謐な空間が生まれた」と、心に残った体験をシェアする観客もいました。

演奏後、史雲龍氏は「大道は同じ源を持つ。琴道は美しい精神を生み出し、国境を超えた共通の精神的財産になる」と語りました。彼の思いは、千年を超えて過去の古琴芸術を再生し、現代に新たな息吹を与えることでした。

今回のイベントは、チケットが発売開始と同時に即完売し、その後も追加席を求める声が相次ぎましたが、残念ながら追加公演は実現できませんでした。しかし、主催者は次回の催事に向けて準備を進めており、多くの琴愛好家たちの期待に応えようとしています。史雲龍氏が再び私たちの目の前で演奏する日を心待ちにしています。


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