新たな床版更新システム「Qa-Slab」が登場
大阪を拠点に活動するオフィスケイワン株式会社が、株式会社大林組と共同開発した床版更新向けの新たなCIMシステム「Qa-Slab」を2026年2月2日から一般販売開始します。このシステムは、設計諸元をルールとして登録することで、瞬時に割付け案を生成し、3Dモデルとして出力することが可能です。これにより、膨大な工数がかかる床版取替工事の設計業務が大幅に効率化されます。
開発の背景と床版更新の必要性
日本全国の高速道路や橋梁が供用開始から数十年経過し、老朽化が進んでいます。このため、多くの地域で床版取替工事が必要とされています。従来の設計プロセスでは、経験豊富なオペレーターが複数の案を考慮しながら割付け作業を行うため、時間と工数が膨大にかかってしまっていました。そこで、オフィスケイワンと大林組は2021年から協力し、「Qa-Slab」を開発しました。このシステムは、床版取替工事の設計の標準化と効率化を図るものです。
Qa-Slabの特徴
1. 割付け案生成の迅速化
Qa-Slabは、設計ルールを登録することで、複数の割付け案を瞬時に生成することができます。設計者は、意図した設計要件を反映した案の中から、最適なものを選択しやすくなります。これにより、短時間での設計比較が可能となり、工期の短縮にも寄与します。
2. ハンチ形状の自動シミュレーション
許容範囲やグルーピング条件を設定することで、最適なハンチ形状を自動的に決定します。この機能により、設計者は従来の手動作業を省略し、効率的な設計が可能になります。
3. 高品質な統合モデルの作成
Qa-Slabは、オフィスケイワンが提供する鋼橋CIMシステム「CIM-GIRDER」と連携することで、床版と既設鋼桁の統合モデルを作成することができます。これにより、高品質な設計が実現します。
4. 施工計画支援機能の追加
既設床版のカット割りや、必要な孔の配置を計画する機能も搭載されています。この機能により、施工計画がよりスムーズに進むようになります。
今後の展開と販売スケジュール
Qa-Slabは、2025年10月から体験会を開催し、実際に操作できる場を提供します。参加希望者は営業担当に問い合わせてください。販売は2026年1月5日から開始し、2月2日には正式に販売が開始される予定です。販売価格は、単体ライセンスが1,200,000円(税別)を予定しています。
また、今後はPC鋼材や鉄筋の自動配置が可能なサブシステムも開発中で、さらなる自動化と標準化を目指しています。
まとめ
「Qa-Slab」は、床版取替工事における新たな道を示すシステムです。設計から施工まで、一貫したプロセスを経ることで、より効率的な工事の実現が期待されます。オフィスケイワンはこれからも、建設分野におけるデジタルトランスフォーメーションを推進し、業界全体の生産性向上に貢献していきます。