タイガー魔法瓶が進める脱炭素化の新技術
大阪府門真市に本社を置くタイガー魔法瓶株式会社が開発した「ステンレス密封真空断熱パネル TIVIP」が注目を集めています。この新技術は、保冷時のCO₂排出を大幅に削減することが可能となっており、最近行われた実証実験ではその効果が明らかになりました。シンプルながら革新的な技術は、環境負荷軽減に貢献すること間違いなしです。
TIVIPの実証実験
兵庫県神戸市で行われた実証実験では、TIVIPを搭載したリーファーコンテナと従来型のリーファーコンテナが比較されました。実験は、外気温が平均32.3℃に達する真夏日を想定し、庫内温度5℃を維持する条件下で実施されました。この結果、TIVIPを使用したコンテナは、保冷機が稼働する時間を従来コンテナの5時間からわずか2時間にまで短縮することに成功。これにより、消費電力とCO₂排出量をそれぞれ45.9%削減したのです。
環境に配慮した優れた断熱性能
TIVIPは、ステンレスを使用することで、従来の非ステンレス製真空断熱材に比べて高い不燃性と長期間の高断熱性を実現しています。この技術を利用することで、長時間にわたって温度を保持することができ、冷凍や冷蔵品の輸送、さらには異なる温度帯の品物を同時に運搬する混載輸送が可能となります。これにより、輸送コストの効率化やトラックの排出ガス削減にも寄与するのです。
大阪・関西万博での実用性
すでに、大阪・関西万博では、飲食店への食材輸送にTIVIP搭載の保冷ボックスが使用されました。長時間の温度維持が求められる環境下において、この技術は非常に役立ちます。また、混載輸送が可能になることで、トラックの台数を減らしCO₂排出量の削減を図るとともに、人手不足問題にも寄与しています。
協業パートナーとの共創
この革新技術の実現には、日本通運との協業が大きく貢献しています。日本通運の藏田隆典氏は、TIVIPを組み込んだ「プロテクトBOXサーマル」が医薬品や食品の輸送に大いに役立つと期待を寄せており、今後の展望も非常に明るいものとなっています。
四季を通じた環境配慮型輸送
タイガー魔法瓶は、今後冬季に向けた保温輸送の実験も進めていく予定です。真空断熱パネル TIVIPは、その卓越した断熱性能から、結果的に再エネの利用促進にもつながると考えられています。この新しい冷蔵・冷凍輸送技術は、物流だけでなく、さまざまな産業分野にも広がる可能性があります。
まとめ
タイガー魔法瓶が開発したTIVIPは、ただの断熱材ではなく、環境負荷軽減に向けた新しいソリューションです。脱炭素化が叫ばれる今日、このような技術の普及が期待される中、タイガー魔法瓶はその最前線に立っていると言えるでしょう。今後の動向から目が離せません。