ノンフィクション賞受賞作
2025-07-18 14:36:13

第47回講談社本田靖春ノンフィクション賞受賞作のご紹介

第47回講談社本田靖春ノンフィクション賞受賞



2025年7月17日、該当年度の最後の選考会が行われ、その結果、石村博子が著した『脱露シベリア民間人抑留、凍土からの帰還』が見事に受賞を果たしました。この作品は株式会社KADOKAWAから2024年7月に出版予定です。受賞の知らせは、全国の文学界に新たな波紋を広げています。

受賞の背景と著者の思い



石村博子さんは、受賞にあたってのコメントで、シベリア抑留に関する公的資料が限られていることに触れ、民間人の抑留者についての記録がいかに乏しいかを訴えました。彼女は、敵国であるソ連に抑留された日本の民間人たちが、いかに苦難の道を歩んできたかを描くことが重要だと考え、8年以上にわたる取材を行いました。

著者は、「自己意思残留者」として日本政府によって見捨てられた人々の物語を紡ぎ、彼らがいかに故国を思いながらも異国で生き抜いたのかを中心に描いています。この受賞は、歴史の隅に埋もれていた声を世に出すための重要なステップとなります。

本書の詳細



石村さんの著作『脱露シベリア民間人抑留、凍土からの帰還』は、南樺太において戦後に逮捕された民間人たちの姿を描きます。彼らは突然の逮捕を経験し、厳しい労働を強いられる中で、どのように生き延びたのでしょうか。

本書では、少年の密航から始まり、彼が故国に帰るまでの40年以上を描写しています。彼や他の抑留者が辛い状況でどう生き抜いたか、一つ一つのエピソードが心を打つものです。

迫り来る記憶の真実



書中で語られる多くのエピソードは、抑留者たちが時折直面した不当な扱いや、国に見捨てられた痛みを鮮明に映し出しています。KGBの監視下で生きる彼らの生活、再会がもたらした苦悩、そして日本政府からの無視は、単なる一国の歴史だけでは語り尽くせない深い痛苦を伴っています。

限りない研究の旅



著者の石村さんは、この作品を書くために多くの資料を探し、取材を重ねました。彼女の執念ともいえる調査活動が、この作品を支えています。歴史的事実を基にした彼女の記述は、読む者に強いメッセージを届けます。

2冠達成の栄誉



昨秋には、石村博子の作品は第10回「シベリア抑留記録・文化賞」も受賞し、二冠を達成しました。これは、シベリア抑留の問題を扱った作品として評価されることの重要性を示しています。今後も彼女の作品に注目が集まることでしょう。

書誌情報



  • - 書名:脱露シベリア民間人抑留、凍土からの帰還
  • - 著者名:石村博子
  • - 発売日:2024年7月26日(金)
  • - 定価:本体2,250円+税
  • - 発行:株式会社KADOKAWA

この機会に、歴史の中の声を再確認し、悲劇の中を生き抜いた人々の物語に耳を傾けてみてはいかがでしょうか。私たちが知るべきことが、そこには隠されているのです。


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