住宅業界に新風を吹き込む『miratap』
2025年12月17日、株式会社ダイヤモンド社からリリースされる『miratap --業界のタブーへの挑戦』では、著者・山根太郎氏が語る新しい住宅ビジネスのかたちが描かれる。著者は、長年の業界の慣習に疑問を持ち、消費者にとって価値のあるビジネスを追求してきた。読者は、住宅業界の透明性を目指すその挑戦の様子を追体験することができる。
殺伐とした住宅業界の現実
家を建てたいと考える人々にとって、住宅設備や建築資材の価格が不透明であることは大きな障害である。不当な中間マージンが発生するため、施主は提示された総額が適正なのか判断できず、結果的に理想の家づくりが困難になることが多い。さらに、契約したメーカーの商品しか選べないという現実は、施主の自由度を奪い、業界の都合が優先される不公平な状況を生んでいるのだ。
山根氏は、こうした業界の隠れた問題を理解し、2000年から自社ECサイトでの「ワンプライス」システムの構築に挑んできた。このシステムは、全商品を一律の価格で提供することで、価格の透明化を図り、消費者が自ら自由に商品を選ぶことを可能にする。
消費者視点の取り組み
施主が自由に商品を選べるようになるためには、実際に商品を手に取って確認することが非常に重要だ。そのため、山根氏は全国7か所にショールームを設置し、さらには無人ショールームの導入を進めた。この無人ショールームでは、アバターを用いた接客が行われており、より効率的で快適な顧客体験を提供している。このような新しい取り組みは、消費者との信頼関係を築く基盤となる。また、施主が自分のペースで住宅設備や建材を見つけられる体験を提供することで、家づくりのストレスを減少させることも狙っている。
グローバルな挑戦
国内での成功を収めた後、山根氏は海外進出も積極的に行い、フィリピンやタイ、台湾、インドネシアなどとの提携を行っている。このような国際的な協力は、miratapの成長をさらに加速させる要因となっている。創業からの成長を振り返ると、彼が社長に就任した時期の売上は約70億円だったが、現在では150億円を超えている。その成長速度は目を見張るもので、彼のビジョンを実現する道をしっかりと歩んでいる。さらに2030年には売上1000億円の達成を目指している。
著者の理念
本書では、「家づくりのストレスをゼロにする」という理念を基にした数々のエピソードが紹介されている。それに加えて、ライフネット生命創業者・出口治明氏からの寄稿も掲載され、業界の未来に向けた新しい視点が加わる。出口氏は、「消費者にとって価値のあるビジネスは絶対に残る」と述べており、真に顧客志向のサービスが生き残る時代を強調している。こうした考え方は、miratapの理念と完全に一致するものである。
結論
『miratap』は、住宅業界の不透明な実態を打破し、消費者の信頼を得るための新しい試みを続けてきた。この本は、読者にとって家づくりの新しいアプローチを理解する手助けとなるだけでなく、業界全体の健全性向上に貢献するヒントが詰まっている。ぜひ手に取って、山根氏の挑戦の軌跡を辿ってみてほしい。