大阪市立自然史博物館の注目展示
大阪市立自然史博物館で、2024年2月28日から3月30日まで「世界から見た日本のキアゲハ~様々な近縁種の紹介~」というミニ展示が行われます。この展示では、日本で身近に見かけるキアゲハの魅力を深掘りし、世界中の近縁種も合わせて紹介します。
キアゲハ(Papilio machaon)は、アゲハチョウ科に属する蝶で、日本のみならずユーラシア大陸やアメリカ大陸にも広く分布しています。その中でも、日本の個体は特に大型化する傾向があり、夏型の雌は特に目を引きます。展示会では、特大サイズの日本産キアゲハの標本が展示され、その大きさに驚くことでしょう。
近縁種や地域的差異について
キアゲハは多くの亜種が存在し、近年の遺伝子解析により、いくつかが独立した種として認識されています。例えば、サハリン、日本列島、韓国済州島に生息する個体群は、新たにPapilio hippocratesと名付けられました。こうした近縁種は、それぞれが地理的に異なる環境に適応しながら独自の進化を遂げてきました。
一方で、イギリス産のP. machaon britannicusは非常に少なく保護されており、1999年の地震によって絶滅の危機に直面した台湾のP. machaon sylvinaも知られています。フランスのコルシカ島に生息するP. hospitonも絶滅の危機にあり、国際的に保護されています。この展示では、こうした希少な昆虫たちとも出会うことができ、地域性による違いを実感できる貴重な機会となるでしょう。
キアゲハと人々の暮らし
キアゲハは、その美しい姿と存在で日本の自然を彩ってきましたが、実は農業にも影響を与える農業害虫ともされています。ニンジンやセリ、パセリなどのセリ科植物を寄主とするため、農業に携わる人々との関わりも深いのです。
また、キアゲハはそのライフサイクルや生態を通じて、多くの研究者に注目されており、分類学的な論文や遺伝子解析の研究も行われています。展示では最新の研究成果も紹介され、キアゲハの科学的な魅力を知ることができます。
展示情報
- - 名称: ミニ展示「世界から見た日本のキアゲハ~様々な近縁種の紹介~」
- - 開催期間: 令和7年2月28日(金)~3月30日(日)
- - 開館時間: 2月は9時30分~16時30分(入館は16時まで)、3月は9時30分~17時(入館は16時30分まで)
- - 休館日: 月曜日(祝日の場合はその翌平日)
- - 会場: 大阪市立自然史博物館 本館1階出入口付近
- - 観覧料: 常設展入館料(大人300円、高大生200円)、中学生以下や障がい者手帳の持参者は無料
この展示を通して、キアゲハの魅力をぜひ感じてみてください。自然界の多様性と、美しい蝶たちの世界を新たな視点で楽しむことができる貴重な機会となるでしょう。