債務整理に潜む相談者と専門家の認識のズレとは？

近年、借金問題に関する相談が増えている中、株式会社cielo azulが実施した調査では、債務整理に対する相談者とその専門家の間に存在する認識のギャップが浮き彫りになりました。ここでは、その調査結果をもとに債務整理に潜む誤解を探り、適切なタイミングでの相談の重要性をお伝えします。

調査概要

株式会社cielo azulは、債務整理の経験者および専門家に対象を絞った調査を行い、1000人以上のデータを収集しました。この調査の目的は、債務整理における相談者の考え方と専門家の見解の食い違いを把握することです。興味深い結果が得られたので、一つずつ見ていきましょう。

相談のタイミングについて

まず、債務整理を経験した方に「いつ債務整理を決意したか」という質問をしたところ、最も多かった回答は『1か月の返済額が生活費を超えた（45.3％）』でした。あまりにも生活が厳しくなって初めて相談に行く人が多いことがわかります。しかし、専門家である弁護士や司法書士が「もっと早く相談してくれていれば」と感じるケースも多いのです。例えば、『自己破産しか選べなくなっていた（48.1％）』『差し押さえ直前だった（46.1％）』といった回答が見られ、もっと早く相談すれば他の選択肢があったのにと感じている専門家の声が反映されています。

認識のズレと誤解

債務整理の経験者に事前に持っていた認識を聞いた結果、『自己破産すれば借金は完全にゼロになる（47.3％）』『債務整理すると一生ローンが組めない（38.2％）』といった誤解が多数見受けられました。一方、専門家は『全て丸投げできると思っている（42.7％）』という誤解が多く見られました。これらの認識のズレが、結果的に相談のタイミングを遅らせたり、過度な期待からトラブルを招いたりしている要因と考えられます。

誰に相談するかが重要

調査では、債務整理について最初に相談した相手の選択肢が重要であることも明らかになりました。専門家に相談する前に『知人や家族』『行政書士』に相談してしまうケースが一定数ありました。具体的には、『行政書士に相談してしまい、対応できず違法だった（41.1％）』という回答があり、技術的に不適切なアドバイスが長引く債務問題を解決する障壁になってしまっているのです。最初に適切な専門家を選定することが、スムーズな手続きを進めるためには役立つことがわかります。

手続き中の不安

債務整理の経験者からは「書類の準備がわからなかった」「進捗が見えず不安だった」という意見が上がりました。専門家側からは「依頼者が手続きを途中で放棄した」が多くの回答に挙がるなど、依頼者が抱える不安感が手続きの中断に繋がることも多いようです。

再発のメカニズム

さらに調査では、債務整理後に再発している依頼者に共通する特徴も明らかになりました。多くは「借金の原因を見直さず再度債務を作った」とされており、「浪費を繰り返してしまった」という傾向も見受けられました。これに対し、債務整理を通じて金銭感覚や価値観を意識的に見直している人々は、生活の立て直しに成功していると報告しています。

まとめ

今回の調査を通じて顕在化した「債務整理に関する認識のズレ」は、相談者の早期の行動と、それに伴う適切なアドバイスの必要性を示しています。債務整理は終わりではなく、新たな生活を立て直す機会であることを忘れずに、専門家と連携して問題解決に向かうことが重要です。今後、誤解を解消し、よりスムーズな支援体制が整うことが期待されます。