大阪で開催されたサステナブルシーフード・サミット2025の概要
2025年10月1日から2日、日本の大阪で、持続可能な水産業を促進することを目的とした「サステナブルシーフード・サミット2025」(TSSS2025) が開催されました。このイベントには、国内外からの水産業のキーパーソンが集遇し、持続可能な未来を築くための最新情報や意見交換が行われました。
今年のテーマは「水産業の未来地図:グローバル連携で描くサステナビリティ」で、参加者たちは多様な視点を持ち寄りながら、未来に向けた課題について議論しました。48名が登壇し、約463名が参加したこのサミットは、持続可能な海をともに描くための貴重な機会となりました。
基調講演と重要な議題
特に注目されたのは水産庁の藤田仁司長官による基調講演です。藤田長官は「漁業強靭化計画」について説明し、漁業規制の見直しや違法漁業の撲滅をはじめとする、未来に向けた施策について話しました。漁業者のデータを積極的に活用することが、正確な資源評価に繋がるとの見解も示されました。
また、IUU(違法・無報告・無規制)漁業に関するセッションでは、近隣国の水産庁が一堂に会し、効果的な対策についての議論が交わされました。日本は多様な水産物を輸入しているため、IUU漁業の撲滅に取り組むことが特に重要とされています。
労働者の人権と漁業の未来
FOSPIのアフメッド・ムドザキル氏は、IUU漁業が人権侵害を引き起こしていることについて語り、漁船にWi-Fiを設置する必要性を訴えました。このセッションでは、孤立した船員たちが情報にアクセスできるようにすることで、労働環境の改善を促進する重要なメッセージが発信されました。
さらに、株式会社フィッシャーマン・ジャパン・マーケティングの津田祐樹氏は、地域の漁業の重要性や、漁業者と研究者、NGOとの連携が未来に必要であることを強調しました。特に、低コストで導入可能なデジタルトランスフォーメーションの手法により、高齢化や人口減少が進む地域の漁業の持続可能性にも急務が求められています。
連携と協力の重要性
サミットでは、どのセッションでも「連携」「協力」というキーワードが頻繁に登場しました。持続可能な海を構築するためには、国や地域を超えての協力が不可欠であることが再認識されました。特に、企業の非競争連携の管理が新たに設立された「責任ある水産物調達ラウンドテーブル」でも強調され、企業は個々では解決が難しい問題に対して協働する必要があるとの見解が示されました。
来年に向けて
サステナブルシーフード・サミット2025 は、持続可能な水産物の未来を見据える重要なフィールドとして、参加者たちが新たな連携を構築する場となりました。このような取り組みを通じて、2030年を目指したサステナブルシーフードの主流化が進められていくことが期待されます。
次回のサステナブルシーフード・サミット2026は、2026年10月に東京で開催される予定です。次の再会を楽しみにしながら、皆様には今後の動向にご注目いただければと思います。