岡山大学が新たなALS治療の可能性を示唆
2025年7月20日、国立大学法人岡山大学が発表した研究成果が神経難病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の理解に新たな光を当てました。この研究では、遺伝子DNAJC7の機能低下が家族性ALSを引き起こすことが判明。これにより、ALSの治療目標としての新たな視点が示されています。
ALSとはどんな病気か
ALSは、脳や脊髄にある運動神経細胞が徐々に壊れ、最終的には運動機能が失われる深刻な病気です。現在のところ、その原因はいくつか知られているものの、未解明な部分も多く、医療界でも注目されています。一般的に、ALS患者は進行する運動麻痺によって、最終的には日常生活を維持できなくなる場合が多いです。
DNAJC7とALSの関連性
今回、岡山大学の研究チームは、日本国内の家族性ALSを持つ患者から得た遺伝子分析を通じて、DNAJC7という遺伝子がALSの原因であることを特定しました。具体的には、DNAJC7の両方のアレルにおいて病的な変異が見つかり、この遺伝子の機能喪失が神経細胞にダメージを及ぼすことが明らかになりました。
この研究には山下徹准教授、石浦浩之教授をはじめ、岡山大学の他の研究者が参加し、細胞モデルやゼブラフィッシュを使った実験により、DNAJC7が正常に働かないと運動神経細胞内で特定のタンパク質が異常凝集することが確認されました。反対に、DNAJC7の発現が強化されると、これらの異常が改善されることもわかりました。この知見は、ALSに対する新たな治療法の開発につながる可能性があります。
今後の研究と期待
山下准教授は「DNAJC7がALSの原因であることがわかった時の驚きは今でも忘れられません。そして、これらの発見が新しい治療法の開発につながることを願っています」と話しています。加えて、研究チームは今後もDNAJC7及びその関連するヒートショックタンパク質の制御を目指してさらなる研究を続けていくとのことです。
研究の意義
この研究成果は国際科学誌「Acta Neuropathologica」にも掲載され、神経難病に関する新たな知見として広く注目されています。ALSの治療法は依然として限られたものであるため、このような基礎研究が実用化されれば、多くの患者に希望を与える可能性があります。
岡山大学が進めるこの研究は、ALSの理解を深めるだけでなく、将来的には新たな治療法の確立にも寄与すると考えられています。医療界や製薬会社との連携も進むことが期待されており、具体的な治療法の早期実現に向けた動きが注目されます。
興味深いのは、この研究が日本国内だけでなく、世界中のALS研究に与える影響です。今後も岡山大学の研究に注目し、患者の療法に新たな道が開かれることを期待しましょう。