ヤマハが推進するフィリピンでの音楽教育プロジェクト
日本のヤマハ株式会社が、フィリピンにおける初等音楽教育の支援に乗り出しました。これは文部科学省が掲げる「令和7年度『日本型教育の海外展開(EDU-Portニッポン)』応援プロジェクト」に選ばれた新しい取り組みです。2025年7月25日には独立行政法人国際協力機構(JICA)との連携覚書も締結され、両者が協力してフィリピンの教育環境向上を図ることになりました。
フィリピンでは、浜松市とダバオ市との協力のもと、2024年12月から公立初等学校3校での音楽教育を試験的に始めます。具体的には、約720名の児童にリコーダーを用いた授業が行われ、新しい国定教育カリキュラムが導入された影響で、音楽教科が他教科と統合され縮小されるという状況の改善を目指しています。
プロジェクトの目的は、フィリピンの子どもたちに「21世紀型スキル」を身に着けさせることです。このスキルは、急速に変化する現代社会において重要であるとされ、音楽を通じて育むことで、子どもたちの人間力を高めることが期待されています。
学ばれたことを生かす
このプロジェクトは、フィリピン政府や教育機関との密な連携のもとで進められます。特に、教育省やさまざまな機関が日本及びASEAN各国の音楽教育における視察を行い、音楽教育の導入や効果測定を通じて、その成果を実現します。過去には、ヤマハはマレーシア、インドネシア、ベトナムなどでの音楽教育支援によって、425万人の子どもたちに音楽の楽しみを提供してきました。
また、このプロジェクトにおいては、フィリピンの教育省によるダバオ市での「スクールプロジェクト」の視察など、直接的な効果の測定が行われる予定です。このような継続的な取り組みを通じて、音楽教育が子どもたちの心や知性を育むための大きな手助けとなることが期待されています。
将来へ向けた道
今回の協力関係は、ヤマハがこれまでにもJICAと協働してきた実績を踏まえたものです。タンザニアやエジプトでのプロジェクトを通じて得た知見を活かし、今後も協力関係を強化していく予定です。「スクールプロジェクト」は、持続可能な開発目標(SDGs)に基づき、質の高い教育や人々の不平等を減らすこと、そして平和と公正を広めることを目指しています。音楽教育を通じて、次世代を担う子どもたちの教育の質を向上させるためのこの取り組みは、未来に向けた明確な道標となることでしょう。
このように、ヤマハによるフィリピンでの音楽教育支援プロジェクトは、教育の質を向上させるための重要な取り組みです。音楽がもたらす多くの可能性を信じ、音楽を通じた教育の普及を進めることで、心豊かな社会の実現を目指すのです。