大阪府が進める金融教育プログラム
大阪府が採択した日本金融教育支援機構の新たなプロジェクトは、児童養護施設での金融教育を目的としています。このプログラムは、2025年8月20日に堺市の泉ヶ丘学院にて実施される予定で、対象となるのは施設に通う高校生たちです。この取り組みは、大阪府が発表した「NPO等活動支援によるSDGsの達成に向けた社会課題解決事業」の一環として位置づけられており、未来の社会で自立していく子どもたちにとって欠かせない教育の重要性を強調しています。
子どもたちに必要な金融教育
児童養護施設で生活している多くの子どもたちは、地域の学校に通い、安定した環境で生活を送っています。しかし、一定の年齢になると退所し、自立した生活を送る必要があります。改正児童福祉法による退所基準の変更によって、自立の可否が重視されるようになったものの、実際には多くの子どもたちが金融の管理能力に苦労し、無計画な金銭運用により、短期間で所持金を使い果たしてしまう危険性が指摘されています。
大阪府の調査によれば、児童養護施設を退所した79%の若者は自分の収入で生活をしていますが、退所時に持っていた約77万円の所持金が数ヶ月後には10万円未満に減少しているという実態もあります。これは、施設での限られた金融経験や金銭感覚の未熟さによるものです。多くの子どもたちからは、「使い方がわからず余計な出費が増えた」「金銭管理の練習が必要だった」といった声が寄せられています。
プロジェクトの背景
このプロジェクトは、クラウドファンディングを利用して支援を募り、資金を集める「マッチング寄附方式」を通じて実施されます。大阪府と村上財団が連携して、クラウドファンディングプラットフォーム「for Good」においてプロジェクトを公開したところ、多くの市民からの賛同と支援を得て、目標金額の210万円を達成することができました。この資金を活用して、出前授業の実施とともに、持続可能な教育インフラの整備にも取り組みます。
また、プロジェクトには大阪府知事の吉村氏からも応援のメッセージが寄せられています。大阪府はこれまでにも不登校の子どもたちやLGBTQの支援、フードロス削減に向けた取り組みを行っており、今回の金融教育プログラムもその一環として位置づけられています。
期待される効果
この金融教育を受けることで、子どもたちは将来の自立に向けて金融に関する基本的な知識や、実践的なスキルを身につけることができると期待されています。自立後の生活を見据え、必要な知識や制度を正しく理解することは、経済的な安定をもたらし、社会で活躍するためにも不可欠です。
まとめ
2025年の出前授業を通じて、多くの子どもたちが金融教育の重要性を実感し、将来に自らの選択肢を広げることができるようになることを願っています。この取り組みを応援するために、多くの方々が参加し、支援を行うことが求められています。そして、大阪府はさらに多くの社会課題に取り組み、全ての子どもたちが自立した人生を送れるような社会を実現するために、引き続き努力していくことでしょう。