水道管更新の新時代を切り開く「エスロハイパーJWPINP」
2025年10月7日、積水化学工業株式会社が新たに発表した「エスロハイパーJWPINP」が、水道管更新の新しい一手として業界の注目を集めています。この専用管は、非開削で老朽化した水道管を効率的に更生するために設計されたもので、今後の水道インフラの維持管理に大きく寄与することが期待されています。
日本の水道管問題の背景
日本には全国で約74万kmの水道管が存在していますが、多くは1960年代から70年代にかけて整備されたものです。その結果、現在では法定耐用年数を過ぎた管路が全体の約23.6%に達し、特に2030年以降はその割合がさらに増加すると予測されています。実際、日本全国では年間2万件を超える漏水や破損事故が報告されており、これにより断水や健康被害といったリスクが常に伴っています。
さらに、水道管の更新は極めて困難であり、全国の更新率はわずか0.64%と低迷しています。これでは全ての水道管を更新するには130年以上かかる見込みです。したがって、効率的で迅速な更新方法が求められています。
開発の背景と狙い
老朽化した水道管の問題解決のために、積水化学は新たに「エスロハイパーJWPINP」を開発しました。この製品は、老朽水道管を取り扱う上での数多くの課題を解消するために設計されており、特に開削工事が難しい地区でもスムーズに施工がなされることが可能です。人口減少や節水意識の高まりによる水道料金の収入減少、工事業者の不足など、水道管更新の現状における困難な状況を打破すべく、同社は非開削工法を基にしたソリューションを提供します。
「エスロハイパーJWPINP」の特長
「エスロハイパーJWPINP」は、次のような特長を持っています:
1.
安定した施工品質:EF(電気融着)接合による施工が可能で、専門的な技術が必須でないため、地域の水道工事業者でも手軽に施工が行えます。
2.
スムーズな挿入:接合部が縮径設計されているため、既設管内への挿入が非常にスムーズです。
3.
サイズダウンの効率:直管部では既設管サイズから1サイズダウンが可能で、流量損失を抑えることができます。
4.
保護層の追加:外面には保護層が施されており、施工時の傷から管を守ります。
今後の展望
「エスロハイパーJWPINP」は、2025年10月29日から31日に開催される「2025広島水道展」で初めて展示される予定です。この展示会では、実物を通じてその性能や特徴を直接確認することができます。産業界や自治体の関係者にとって、今後の水道インフラの更新に役立つ重要なイベントとなることでしょう。
積水化学の新製品が、日本の水道管の未来をどのように変えていくのか、非常に楽しみです。