経年美化の趣を感じる大阪の集合住宅
大阪府にあるK様邸は、経年美化をテーマにした新しい形の集合住宅です。時間が経つごとに、その魅力が増していく空間を目指し、積水ハウスのエクステリアデザイナーである齋藤英が設計を手掛けました。この住宅は、ただの住まいではなく、地域の一部として、人々に特別な体験を提供するよう計画されています。
経年美化のコンセプト
「経年美化」とは、時間の経過とともに美しさが増すことを意味します。そのための設計が行われ、K様は「年月が経っても魅力的な空間を実現したい」との想いを持って、齋藤デザイナーに依頼しました。K様の要望には、建築に深い理解と愛着を持っていることも影響しており、何度も打ち合わせを重ね、こだわりの賃貸住宅が完成しました。
齋藤は、このプロジェクトを「エイジング」をテーマとして捉え、完成した時が最高ではなく、年月を重ねることでその魅力が増していく空間を目指しました。
制約を強みにしたダイナミックな造園
敷地が限られている中で、いかに魅力を引き出すかが設計の鍵となりました。K様が当初心配していた造園スペースの不足を齋藤は逆手に取り、「大きな石や流木を使うことで、逆にその迫力が生まれる」との提案をしました。この大胆なアプローチにK様も納得し、現場には美しい自然素材が息づくこととなります。
さらに、思わせぶりな存在感を持つ流木や石は、造園の中で自然と一体になり、住人や訪れる人々に穏やかな感動を提供します。そして、フランク・ロイド・ライトの意匠を取り入れた照明が室内外に調和をもたらし、経年による美しさが余すところなく表現されました。
棚引く石と流木が魅せる新しい風景
K様邸は、グリーンの豊かさを重要視した設計がなされており、特に目線の高さに広がる植栽が工夫されています。目線の高さに合わせた植栽により、通り過ぎる人々に親しみを感じさせ、自然を身近に感じてもらえるよう配慮されています。
例えば、イロハモミジやノムラモミジなどの在来種や、ツツジ類を採用することで、四季折々の変化を楽しんでもらえる工夫がなされています。これらの特徴は、居住者だけでなく、街の風景とも調和し、地域社会の一部として機能することを満たしています。
小さな庭が築く生態系
この庭は、生態系への寄与を意識した設計がされています。小さな庭でも生き物を呼び込むことができ、その効果を最大限に引き出すよう努めています。水景を設けることにより、蝶や鳥を招き入れ、その営みを見て人々が幸せを感じるという、自然の美しさと魅力を体感してもらいたいという願いが込められています。水を張ることで得られる潤いは、人々に心地よい環境を提供します。
未来を見据えた取組
K様は、この賃貸住宅に特別な価値を持たせ、単に住む場所ではなく、豊かな経験を提供したいと考えています。入口を入った瞬間から流れるジャズ音楽や、リラックスできる空間の演出が、その思いを物語っています。また、入居者に自信を持ってもらえるよう、デザインや素材にもこだわりが詰め込まれています。
最後に、このプロジェクトは単なる住宅にとどまらず、地域に貢献し、時を重ねても価値が高まる場所を作りたいとのK様の使命感が現れているのです。このように、経年美化というテーマのもと、新しい形の集合住宅が大阪に存在することは、これからの住まい方の一つの響きを感じさせます。