光で電子間の相互作用を変える革新技術、岡山大学らが提案
最近、東京科学大学の花井亮准教授、岡山大学の大槻太毅准教授、京都大学の田財里奈助教からなる研究チームが、光照射を利用して「非相反相互作用」を生み出す新しい理論を発表しました。この発見は、科学界における物質の性質を理解する上で大きな進展をもたらすかもしれません。
研究の概要
研究チームは、光を照射することによって固体内に特定の環境を作り出し、電子間の相互作用を従来通りの作用反作用の法則に従わせず、むしろ新たな形態の相互作用を誘発する方法を考案しました。具体的には、二層の磁性金属を用いて、片方の層では磁化が同じ向きに揃おうとし、他方の層では逆向きに揃おうとする新しい現象を示唆しています。このような状態が実現すると、二層の磁性金属が自発的に“追いかけっこ”をしながら回転し続けることが予想されています。
この原理は特に、「非平衡物質科学」という新たな研究分野における理論的証拠として注目されており、これまでの物理学の常識を覆すかもしれません。従来の物質は、外部から力を加えられれば必ず反作用を示すものでしたが、外部エネルギーを注入し続ける非平衡系ではこの法則が破れることがあります。
非相反相互作用の理論的背景
この研究における非相反相互作用は、いわゆる「アクティブマター」と呼ばれる分野に関連しています。生命系が持つ内蔵エネルギーを活用し、個体間の相互作用が非対称になる現象を取り込むことで、通常の物質に新たな機能性を持たせる可能性があります。アクティブマターの世界では、個々の要素が自己のエネルギーを使って動き回るため、物質の振る舞いが非線形となることがよく知られています。
この研究は、その現象を固体物質に適用し、光で特定の電子にエネルギーを注入する設計を進めることで、これまでの物理学の枠組みを再考させるものです。
光の制御による応用の可能性
さらに、光の周波数や強度を適切に調整することで、回転運動のオン・オフやその速度を自在にコントロールできるため、例えば光に応じた周波数変調機への応用なども視野に入ってきます。この技術が実用化されれば、量子物質に新たな展開をもたらし、様々な分野での技術革新が期待されます。
まとめ
この研究成果は、2025年9月18日に「Nature Communications」誌に掲載され、理論が実証されれば、物質科学の新たな地平線を開くことになるでしょう。今後の研究がどのように発展し、この理論が実際の応用へと繋がるのか、ますます注目です。アカデミックな観点からも記録すべき続報となりそうなこのテーマ、ぜひ注目してください。