岡山大学が新型コロナウイルスのNタンパク質を高感度検出!
最近、岡山大学の研究グループが新型コロナウイルスに関する新技術を開発しました。国立大学法人岡山大学の大学院ヘルスシステム統合科学研究科の丁雪大学院生と教授の紀和利彦氏が率いるチームは、テラヘルツ波ケミカル顕微鏡を活用し、微量検体中の新型コロナウイルスのNタンパク質を高感度で検出することに成功しました。
技術の概要
日本国内で新型コロナウイルスの早期検出に向けた研究が進む中、岡山大学が開発した技術は、わずか500nLという微量な検体から、ウイルスのNタンパク質を高精度で検出できるという画期的なものです。従来のPCR検査のように時間を要する方法と異なり、今回の方法はプロセスが迅速なため、罹患者を素早く特定し、感染拡大を防ぐ可能性があります。
この検出技術は、アプタマー(人工RNA)を用いてNタンパク質を選択的に結合させ、テラヘルツ波ケミカル顕微鏡での検出を実現しています。これにより、Nタンパク質の重量はわずか0.5pg(ピコグラム)と推定され、従来の手法よりも一桁以上高い性能が示されました。
研究の意義
新型コロナウイルスの変異株や、将来的に現れる可能性のあるウイルスに対応できる技術の開発は、パンデミックを未然に防ぐために非常に重要です。丁雪大学院生は、「この技術を活用して、次なるパンデミックに備える装置を社会に提供したい」と意欲を表明しています。
この研究は、2024年学術雑誌『Sensors』に発表され、世界中の研究者からも注目されています。今後3年間を見込んで、さらなる技術の改良を進め、実用化を目指します。
研究の背景
岡山大学のこの研究は、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の「次世代研究者挑戦的研究プログラム」や、日本学術振興会(JSPS)からの支援を受けて進められています。岡山大学では、地域社会におけるSDGs(持続可能な開発目標)への貢献を重視し、地域の研究機関としての役割を強化していく方針です。
岡山大学は今後も地域と連携しながら、最前線の研究を続け、社会に貢献していくことを目指します。新たに開発されたこの技術が、感染症対策において重要な役割を果たすことが期待されています。