祖父の沈黙を受け止めて綴る、戦争の記憶『不滅の絆』
近年、戦争に関する直接的な証言を聞ける機会がますます少なくなっています。この背景には、戦争を生き抜いてきた世代の高齢化があり、その声を記録し継承していくことが急務となっています。そんな中、著者のNISHIOKAさんが手掛けた書籍『不滅の絆』は、戦後80年を迎えた今、家族内に眠る戦争の記憶を掘り起こす試みとして注目を集めています。
著者の祖父・西岡稔氏は、太平洋戦争時の航空母艦「瑞鶴」で通信伝令員として従軍しましたが、戦争経験については多くを語ることがありませんでした。その沈黙の背後には、戦争がもたらした過酷な記憶や心の傷が存在していたのではないかと、著者は感じ取ります。しかし、その「語られなかった時間」が経て、NISHIOKAさんはその記憶の断片を取り戻すべく執筆を開始しました。
本書は歴史の教科書ではなく、実際に「生きていた」という感覚を読み手に伝えることを目的としています。NISHIOKAさんは1982年に生まれ、戦争を経験することのない世代ですが、自身の祖父母を通して感じた戦争の影響を深く理解しています。彼の世代は、言葉にされない思い出や記憶を受け継ぐ「最後の接触世代」とも言えるでしょう。
『不滅の絆』は、時代とともに消えかけた戦争の記憶を記録することで、それを次世代へと引き継ぐ手立てを模索したいという強い思いが詰まっています。特に今、戦争を語る機会が失われている現在において、著者がどのようにして祖父の沈黙を読み解き、歴史の一片として形にしたのかは、今後の記憶の継承問題を考える際に貴重な示唆を与えます。
この書籍は、2026年2月11日の建国記念日にあたる日に電子版として公開され、翌日の12日に紙の本としても刊行される予定です。NISHIOKAさんは、音楽活動を通じても「語られなかった記憶」の重要性を訴え続けています。彼の活動の背後には、Tune Factoryという音楽制作レーベルがあり、戦争について考える機会を提供するためのプロジェクトとして進められています。
戦争の記憶を伝えることは、私たちにとって重要な使命です。『不滅の絆』は、単なる歴史の枠を超えた、「生きる力」であり、忘れてはならない思いを呼び起こす一冊です。家族が残してくれた過去の声を、これからも大切にしていくことが求められています。私たち自身が、語り継ぐ側にもなり得るのです。