仙台のバイオテック企業bionto、医療の未来を切り拓く技術と資金調達に成功

仙台の新星企業biontoが創造するヘルスケアの未来

東北大学から生まれたバイオテックスタートアップ、株式会社bionto（ビオント）は、先日シードラウンドにおいて6,000万円の資金調達を達成しました。この最新資金は、医療とヘルスケアの融合を目指す革新的な試みに向けて使われる予定です。

医療費の増大と在宅医療ニーズの高まり

2023年度の日本の概算医療費は史上最高の47兆円を超え、慢性的な医療費問題は国家的な課題となっています。また、このコロナ禍において在宅医療の必要性が高まる中、医師不足や地域格差といった問題も明らかになっています。このような状況の中で、セルフケアやセルフメディケーションを支える革新技術の必要性が急務となっています。

biontoの独自技術イオントロニクス

biontoが提供する技術の核は、東北大学大学院工学研究科の西澤松彦教授が開発した「イオントロニクス技術」です。この技術は、人体に含まれる水分（体液）に含まれるイオンを胆大に利用して、情報やエネルギーを制御・伝達する画期的なものです。世界で権威のある研究成果を多く発表している西澤教授がその開発に携わっており、今後の医療技術にも大きな革新を期待されています。

新しい薬剤投与の可能性

従来の方法では、注射や内服薬に依存することが多く、患者にとって通院や服用の負担が大きいものでした。しかし、biontoでは現在、皮膚から非侵襲的に薬剤を投与できるドラッグデリバリーシステム（DDS）の開発を進めています。特に、高速浸透ニードルデバイスは電気浸透流を生成し、大量かつ迅速に薬剤を投与できる可能性を持っています。この技術は医療だけでなく、スキンケアや頭皮ケアなどの美容分野にも応用が期待されています。

今後の展開と事業計画

調達した資金は、プロダクト開発や優れた人材の採用、ヘルスケア企業とのアライアンス構築に活用される予定です。特に、チームを強化し、開発スピードを加速させることに力を入れるとのことです。biontoは、大学との産学連携においても先駆的な役割を果たしており、社会的課題の解決を目指す中で新たなモデルを構築しています。

地方創生と大学発イノベーション

biontoは、地方移住を通じて問題の深刻さを実感した管理者の妹尾浩充氏が、20人以上の研究者とのディスカッションを経て設立された企業です。特に東北大学は、国際卓越大学として認定されており、先端的な研究成果を基に地域の医療課題解決に向けた取り組みが強化されています。また、最近では「ジャパン・ヘルスケアベンチャー・サミット 2025」に出展することも決まり、多くのメディアや業界関係者からも注目されています。