奈良の伝統が生んだ新素材「薄炭クラフト」でサステナブルライフを実現

奈良時代から続く再生紙文化を現代の技術で再現した新しい素材、「薄炭クラフト」が2025年11月に発売される。この画期的な新素材は、奈良に本社を置く株式会社ぺーパルが開発したものであり、環境に配慮した製品を求める人々に新たな選択肢を提供する。

開発の背景

「薄炭クラフト」が誕生するきっかけは、奈良時代の正倉院に保存されている日本最古級の再生紙についての話から始まった。開発担当者が参加した会での雑談で、使い終えた紙を再利用する「宿紙」という日本の伝統文化の存在を知り、その後の研究に繋がった。古代日本にはすでに自然と共生し、資源を大切に利用する文化があったという事実に心を動かされ、「何としてもこの宿紙を現代に再現したい」との思いがこのプロジェクトの原点となったのだ。

宿紙の歴史

奈良時代にはすでに「宿紙」が存在し、再生紙として使用されていた。正倉院の宝物である巻物にもその技術が用いられており、平安時代には公文書の料紙としても使用されていた。しかし時代を経て、宿紙の文化は戦国時代や江戸・明治時代と共に形を変えながらも受け継がれ、日本における資源循環の文化の基礎を築いてきた。

薄炭クラフトの特長

「薄炭クラフト」は、古紙と未利用資源から生まれる「バイオ炭」を配合した新たな再生紙であり、その質感や趣には宿紙が継承されている。バイオ炭とは、農業の副産物や食品残渣などを炭化して得られる素材であり、環境への負担を減らすための新しい資源である。さらに、この素材には消臭効果があり、美しさと機能性、環境性能を兼ね備えている。