大阪府吹田市における避難所入所のデジタル化
近年の自然災害の増加を受けて、避難所の運営方法は見直されています。特に、避難時の混雑を軽減するための効率的なシステムが求められています。大阪府吹田市では、株式会社バカンが開発した「避難所マネジメントシステム」を用いて、避難所入所受付のデジタル化に関する実証実験が2025年6月28日に実施されました。この取り組みにより、避難所運営のスムーズさが格段に向上することが期待されています。
実証実験の概要
この実証実験では、紙媒体の避難者カードに記入する従来の方法と、新たに導入されたデジタル方式との比較が行われました。実証実験には吹田市職員が参加し、実際の避難状況を模した設定で、それぞれの入所受付方式の効率性が検証されました。
デジタル化の方式
今回の実証では、以下の3つのデジタル方式が用いられました:
1.
アプリによるQRコード読み取り: 利用者が事前にアプリに情報を登録し、QRコードを読み取ることで受付が可能です。
2.
Webフォームによる入力: QRコードをスキャンした後、必要な情報をWebフォームに直接入力します。
3.
カードリーダーを用いた方式: マイナンバーカードをリーダーにかざすだけで、簡単に入所受付が行えます。
実際の所要時間は以下の通りです:
- - アプリQR方式: 平均2秒(約97%削減)
- - Webフォーム方式: 平均4秒(約94%削減)
- - カードリーダー方式: 平均17秒(約75%削減)
- - 従来方式(紙媒体): 平均1分8秒
この実証結果は、デジタル方式が従来の方法よりも圧倒的に短時間での処理が可能であることを示しています。特に災害時には迅速な対応が求められるため、デジタル化は避難所の運営の効率性と安全性を高める重要な要素となります。
避難所マネジメントシステムの機能
今回導入された避難所マネジメントシステムは、スマートフォンアプリ「tami tami」をベースに設計されており、避難所の情報をリアルタイムで更新・管理する役割を果たします。具体的な機能は以下の通りです:
- - 受付手続きの簡素化: 事前登録した情報をQRコードでスキャンするだけで、入所手続きが瞬時に完了します。
- - 地域の避難所情報の可視化: 自分の位置情報を元に、近くの避難所の開設状況や混雑状況を確認することが可能です。
- - 電子回覧板機能: 自治体から住民への重要なお知らせや、地域コミュニティの情報を簡単に配信できます。
これらの機能により、避難所の運営は大幅に効率化され、現場の職員は余計な負担から解放され、より迅速な対応が期待されます。
今後の展望
今後、バカンはこの実証実験で得られたデータをもとに、さらなる機能追加を計画しています。避難所の混雑情報の配信に加え、物資の必要量の予測や、他システムとの連携も視野に入れています。これにより、より多くの自治体と協力して、平時は公共施設の利用支援、災害時には避難のサポートを強化していく方針です。これからの避難所運営が一層スマートで安全なものになることが期待されています。
株式会社バカンについて
バカンは、経済産業省の「J-Startup 2019」に選出された企業であり、「人と空間を、テクノロジーで優しくつなぐ。」をミッションに掲げています。これからも地域社会の安全を技術で支援する取り組みに邁進しています。