建設業における深刻な人材不足と海外人材活用の現状

近年、日本の建設業界は深刻な人材不足に直面しています。この問題は特に施工管理職や技術職に顕著で、多くの企業がその影響を受けています。ヒューマンリソシア株式会社が実施したアンケート調査によると、建設業に従事する345名のビジネスパーソンの約6割が、今後5年間で施工管理職の人材がさらに不足すると予測していることが明らかになりました。

複数の職種での人材不足

調査結果によれば、施工管理職に関しては59.4％が「5年後さらに人材不足が拡大する」と回答しています。同様に、技術領域であるBIM/CIMや設計職でも、半数以上が今後の人材不足を懸念しています。このような背景から、多くの企業が採用活動において海外人材の活用を視野に入れていることが分かります。

特に、施工管理職では84.3％、BIM/CIMや設計職では80.3％が海外人材の採用に対して前向きであることが分かります。また、技能工に至ってはなんと87.6％が海外人材採用に期待を寄せています。このデータからも、建設業界全体が専門性の高い職域においても、海外人材の受入れに対し積極的な姿勢を持っていることが窺えます。

人材不足の実態とその原因

日本国内の人材不足の要因としては、労働人口の減少と高齢化が挙げられます。実際、建設業における就業者数は過去10年間で約30万人減少しており、これに伴い海外人材活用への期待が高まっています。2024年には18万人を超える外国籍人材が建設業で働く見込みで、これは10年前に比べて8.5倍の増加です。

このように、日本国内の建設業が抱える人材不足は深刻化しており、それに対する解決策として海外人材の導入が急務となっています。また、採用だけでなく、育成や定着に向けた支援が今後の課題として浮上しています。企業としては、海外からの技術者が長く活躍できる環境作りがますます重要になるでしょう。

海外人材活用の具体的な動き

特にBIM/CIMを活用する技術職では、8割以上が「積極的に海外人材を採用したい」と回答しており、今後の建設業界における国際化が進むことは明白です。企業は多様なバックグラウンドを持つエンジニアの活用を進めながら、自らの競争力を高めようとしています。

ヒューマンリソシアによると、国際的なエンジニア派遣サービス「Global IT Talentサービス」も活用されており、さまざまな国・地域から集まったエンジニアが日本の企業で活躍する機会が増えています。日本語教育も併せて行われているため、短期間で業務に必要な会話能力を育成することが可能です。

まとめ

このように、建設業界では深刻な人材不足が続く中で、海外人材の活用が不可欠な施策となってきています。今後企業はいかにしてこの貴重なリソースを活かし、育成や定着を図っていくかが鍵となるでしょう。人材の流通が進む中、国際的なコラボレーションを強化することで、新たな可能性を見出すことが期待されます。国を超えた技術者同士の連携が、建設業の未来をさらに明るくするのではないでしょうか。