就職氷河期世代のキャリアと不安を探る調査が示す実態
近年、就職氷河期世代に対する様々な調査が行われています。これは主に、1980年代後半から1990年代初頭の経済バブル崩壊後に就職活動を行った世代を指します。この世代は、厳しい雇用環境の中で、希望する職に就けなかったり、非正規雇用を余儀なくされたりした結果、キャリアに対する不満や将来への不安を抱えています。本記事では、WeCapital株式会社による調査から、就職氷河期世代の実態をご紹介します。
調査の背景と目的
WeCapital株式会社は、就職氷河期世代で現在働いている1,013人を対象に「就職氷河期世代のキャリア・生活・老後不安」に関する調査を実施しました。この調査では、働く上でのキャリアの不満や生活に対する満足度、老後に対する不安などが明らかになりました。この世代は、40代後半から50代にさしかかり、今後の生活に対する関心が特に高まる時期にあります。
キャリアに対する不満
調査の結果、就職氷河期世代の約45%が「給料が思うように上がらない」と回答しました。この不満は、賃金の停滞がキャリアに及ぼす影響を反映しています。また、31.3%が「希望の仕事につけなかった」と感じており、過去の採用機会がその後の職業選択に影響を与えていることが示されました。さらに、23%が「評価と責任の不均衡」を指摘し、「働いても待遇が伴わない」と感じる人が多いことも明らかになりました。
自由に使えるお金とその満足度
次に、自由に使えるお金の金額に関する調査結果が興味深いものでした。多くの就職氷河期世代の方が、月に自由に使えるお金は「10,000円~30,000円未満」と回答しており、それが6割を占めました。この金額に対して、約6割が「不満」を感じていることが分かりました。さらに、本人たちが心に余裕を持てる金額としては「50,000円~100,000円未満」との声が多く、現実の自由に使える金額とのギャップが浮き彫りになっています。
老後の不安と政府支援への期待
老後に対する不安は、ますます深刻なものとなっています。調査結果では、72.8%の方が「年金だけでは生活できない」と感じており、医療費や介護費、さらには働き続けられるかどうかの不安が多くの人々の心に影を落としています。一方、8割が政府や自治体による支援策に対して期待していないと答え、制度への不信感が強いことが明らかとなりました。これは、「支援のタイミングが遅すぎる」や「限られた予算で困窮者を特定するのは難しい」といった意見が多いためです。
求められる具体的な支援
就職氷河期世代が求める支援内容のトップは「年金制度の見直し」であり、この世代の将来に対する不安が根強いことがわかります。また、医療や介護費の軽減、金銭的な支援に対するニーズも強く、再就職や待遇改善よりも、現実的な負担軽減策の重要性が浮き彫りになっています。これらの声を反映させた政策が必要とされています。
まとめ
調査を通じて、就職氷河期世代の多くがキャリア、日常生活、老後の不安を抱えていることが明らかとなりました。彼らは「給料の上昇が遅い」「希望の職に就けなかった」といった不満を持ち、自由に使える金額の不足や老後への不安も相まって、将来の生活設計には多くの課題があると感じています。これらの実態に基づいた具体的な支援策が必要不可欠であるとともに、彼らの声に耳を傾ける政策決定が求められています。