日本の水資源保全を支える新たな取り組み「ジャパン・ウォータースチュワードシップ」の始動

日本の水資源保全を支える新たな取り組み

日本における水資源管理と保全のための新しい試みが、5社の参加のもと、正に今、始まろうとしています。サステナブルな水の国際認証機関であるAlliance for Water Stewardship（AWS）は、国内の企業と手を組み、「ジャパン・ウォータースチュワードシップ（JW S）」を発足させました。この取り組みは、水インフラの老朽化、災害、さらには高騰する水道料金や担い手不足など、さまざまな水に関する課題に対応することを目的としています。

JW Sの目的と背景

JW Sの立ち上げは、特に日本の水資源に関する重要な課題を解決するための協力的な動きです。水源涵養林の荒廃や、農作物の供給に影響を及ぼす気候変動もまた大きな課題です。これらは農業や地域経済に深刻な危機をもたらしており、企業や団体が連携し、さらに国際的な視野で問題解決策を探ることが不可欠になっています。

JW Sの具体的な取り組み

JW Sでは、スコットランドにあるAWS本部と密接に連携を取り、国内企業に対して「流域での責任ある水資源管理」を推進します。具体的な活動としては、企業間のネットワーキングや、研修プログラムを日本語で提供し、流域の水資源保全への協力を促します。さらに、行政機関とも連携していく方針です。

AWSの位置づけと影響力

AWSは、世界自然保護基金（WWF）やThe Nature Conservancy（TNC）といったNGOと共に設立された国際機関で、水の持続可能性を推進しています。グローバルでは200以上の企業がメンバーとして参加し、その中には約300の工場が持続可能な水利用のための国際認証を取得しています。これにより、世界各国での協力的な水資源管理が実施されています。

各社の取り組み事例

1. MS＆ADインシュアランスグループ

この企業は、自然の保全を基盤にした防災や減災策に取り組む「グリーンレジリエンス」を推進しています。特に球磨川流域での流域治水に力を入れており、地域の大学や金融機関と連携して水循環の保全に向けた活動を進めています。

2. 栗田工業株式会社

多様な水処理技術に基づいた製品やサービスにより、環境課題の解決に貢献しています。2010年からWater Resilience Coalitionに参加し、様々な流域でのコレクティブアクションに関しても活動を行っています。

3. サントリーホールディングス

サントリーは2018年に日本で初めてAWS認証を取得し、現在では3つの工場が最高位の「Platinum」を獲得しています。このような実績を通じて、他の企業への浸透を促進しています。

4. 日本コカ･コーラ

コカ･コーラは、世界規模での流域水資源管理を推進し、19拠点でAWSの認証を保持しています。国内においても、ステークホルダーとの協力を通じてウォータースチュワードシップの実現を目指しています。

5. 八千代エンジニヤリング

この会社は水資源に関する調査や解析を行い、国や地方自治体と共に流域の水循環計画に関与しています。最近ではAWSの導入支援も行い、流域の健全性を保つ役割を果たしています。

エイドリアン・シムCEOのコメント

AWSのCEOであるエイドリアン・シムは、日本にはウォータースチュワードシップに対する高い志を持つ企業が多いことを認識していると語ります。しかし、増大する水リスクに対する迅速な対応が求められている今、JW Sはその行動を推進するためのプラットフォームとなり、日本の未来にとって重要な一歩であると期待されています。さらに、彼はウォータースチュワードシップに参加する仲間を増やし、より良い水の未来への道を共に切り開くことを強調しました。

まとめ

JW Sの始動は、日本の企業が責任ある水資源管理を実現するための重要なステップです。企業同士が手を携え、国際的な水問題に立ち向かう姿勢は、今後の持続可能な社会の構築に寄与することでしょう。各企業の取り組みが広がりを見せる中で、私たちも水資源の大切さを再認識し、未来世代に持続可能な環境を引き継ぐ責任があると言えます。