岡山大学がマーティン・エッスル氏に名誉博士の称号を授与

岡山大学がエッスル氏に名誉博士を授与

2025年12月5日、国立大学法人岡山大学は、オーストリアのエッスル財団を創設したマーティン・エッスル氏に名誉博士の称号を授与しました。この授与式は岡山大学のJunko Fukutake Hallで行われ、学長の那須保友氏が名誉博士記を手渡しました。

エッスル氏の業績と影響力

マーティン・エッスル氏は、シェーマー・バウマックス・グループのCEOを勤め、その企業を中欧・東欧地域で最大のホームセンター小売チェーンに成長させました。エッスル氏が築いた企業文化は、国籍や障害にかかわらず多様な人々が共に働く環境を提供しています。その成果は、数多くの賞を受賞することからも明らかです。特に、アントレプレナー・オブ・ザ・イヤーや責任ある企業賞を受賞し、経済的成功と社会的責任を両立するモデルとして名高いです。

さらに、2008年にはや法人非営利団体エッスル財団を設立し、障害者の権利やインクルージョンに特化した「ゼロ・プロジェクト」を創設しました。このプロジェクトは、障害者権利条約に基づく世界的なプラットフォームとし、障害を持つ全ての人の生活と法的権利の改善を目指しています。

ゼロ・プロジェクトの意義

ゼロ・プロジェクトは、国連と協力し、障害者権利条約の施行を促進することを目的とする国際的なプラットフォームです。これまでに100か国以上で10,000人のネットワークが形成され、国際的な社会包摂運動として高く評価されています。エッスル氏はその業績により、2024年にはオーストリア共和国から功労黄金名誉勲章を受賞する予定です。

記念講演会の開催

授与式に続き、エッスル氏が「ゼロバリアの世界のために」というタイトルで記念講演を行い、その活動内容と今後の日本や大学への期待を語りました。あわせて、片岡祐子准教授が「難聴者のコミュニケーションバリア解消に向けた開発」について技術による解消策を発表しました。両者は共に、共に作り上げる組織と社会の重要性を強調しました。

この機会に、岡山大学は地域企業との交流を深め、ゼロ・プロジェクトとの連携を強化し、地域と地球全体のウェルビーイングの向上に向けた取り組みに貢献していく意思を新たにしました。