バイオプラスチックの新たな取り組み
大阪市にある大阪公立大学と大阪ガスが手を組み、廃棄されるバイオプラスチックを資源として活用する新しい実証実験を開始します。このプロジェクトは、森之宮キャンパスにおいて、使用済みのバイオプラスチック製弁当容器を回収し、それをエネルギーとして再利用する試みです。特に、日本初の試みとして注目されています。
実施の背景
森之宮キャンパスがある大阪城東部地区では、地域のイノベーションを生むためのまちづくりが進められています。この地域では、大学、行政、市民が協力し合って持続可能な社会の構築を目指しています。今回の実証実験を通じてバイオプラスチックの有効利用がどのように進むのか、地域への還元が期待されています。
バイオプラスチックとは?
バイオプラスチックは、植物由来の再生可能な資源から作られたプラスチックの一種です。化石資源の使用削減や温室効果ガスの抑制を図るため、多くの国で導入が進んでいます。この動きは日本においても進んでおり、2030年までには現在の導入量を約30倍に引き上げる計画が示されています。大阪ガスもこの流れに賛同し、バイオプラスチックの廃棄物をエネルギーに再生する取り組みを強化しています。
実証実験の内容
この実証実験は2023年11月4日から12月22日までの期間、大阪公立大学の学生食堂で行われます。食堂では、積水化成品工業が製造したポリ乳酸由来の弁当を販売し、そこで使用された容器を回収します。これらの容器は、大阪ガスが持つ独自技術を用いて乳酸に分解され、その後中浜下水処理場に送り込まれます。
このプロセスでは、通常の下水汚泥だけでなく、乳酸由来のバイオガスも生成されます。実験によれば、乳酸を投入することで、バイオガスが通常よりも3倍多く生成される結果が得られています。発生したバイオガスは、下水処理場内でエネルギー源として利用されることになります。
環境への影響
本実証実験では、回収されたバイオプラスチックから、家庭約30戸分の1日の都市ガス使用量に相当するバイオガスが得られる見込みです。さらに、石油プラスチックの使用が約60kg削減されることが期待され、結果的に約340kgのCO₂排出が削減される計算です。これは、大阪市が掲げるカーボンニュートラル社会に向けた重要なステップです。
今後の展望
大規模なスケールアップを目指して、大阪ガスはさらなる研究と技術開発を進めています。バイオプラスチックのバイオガス化は、関西圏で年間約3万トンに達する可能性があり、それにより多量のエネルギーと環境負荷の低減が期待されます。
また、微生物を利用したバイオメタネーション技術の開発にも取り組んでおり、地域の未利用バイオマス資源の活用を促進し、持続可能なエネルギー社会の実現に向けた努力が続いています。
結論
この実証実験は、バイオプラスチックを利用した新しいエネルギーの可能性を示すものであり、持続可能な社会への道を切り開く一助となるでしょう。大阪ガスの挑戦は、環境に配慮した未来へ向けた具体的なアクションです。地域の皆様も、この取り組みにぜひ注目していただき、持続可能な生活の一端に関わることができればと思います。