新任管理職から幹部候補までの部下育成における課題とは

昨今、若手社員の早期離職が社会的な課題となっており、管理職たちは「育ててもすぐ辞めてしまう」という悩みを抱えています。これに対し、ALL DIFFERENT株式会社とラーニングイノベーション総合研究所が行った「管理職意識調査」によると、管理職531名の中で、特に「部下育成」に関する興味深い傾向が浮き彫りになりました。

調査の背景

調査の目的は、部下の育成に関する管理職の意識を把握することでした。重要なポイントとしては、部下を評価する上での「透明性」や「公平性」が損なわれると、優秀な人材が流出するリスクが高まることです。調査は管理職の「評価」「フィードバック」「離職防止の取り組み」に焦点を当てました。

課題の発見

1. 課題目の評価

調査結果によると、「チーム内で極端な評価をつけることをためらう」という回答が27.9%と最大の割合でした。このためらいは、新任管理職から幹部候補まで共通して見られる傾向です。次いで、「一人ひとりに十分な時間をかけられていない」や「直近の状況に引きずられがち」という回答も多くありました。

- 新任管理職：短期間での育成が求められる彼らは、特に「部下に嫌われたくない」との意識が強く、評価においては逃げを打つ傾向にありました。評価基準の理解不足も見受けられました。
- ベテラン管理職：経験があるため評価にかける時間の重要性を認識していましたが、それでも慎重さが見受けられました。
- 幹部候補：このステージにおいては、評価の透明性や公平性が特に重視されるため、極端な評価をつけることへのためらいがより顕著でした。

2. 部下への理解度

管理職が部下についてどの程度理解しているかを問うと、新任管理職は主に業務領域や成果に焦点を当てているのに対し、ステージが上がるにつれて「改善すべき課題」や「言葉・行動の特徴」についての理解が深まる傾向が見られました。

3. フィードバックの躊躇

フィードバックの際に「躊躇したことがある」と答えた管理職は半数以上にのぼり、その理由として「部下の反応が不安」という理由が54.2%と最も高い結果に。評価が厳しくなると、部下がそれにどう反応するのかを不安に思う管理職が多いようです。

4. 離職防止の取り組み

部下の離職防止につながる取り組みでは、「業務量の負荷調整」や「感謝やいたわりの言葉がけ」が多く挙げられました。特に新任管理職は自らの管理スタイルに対する不安を持ちながら、部下と接する中で信頼関係を築こうと努めていることが伺えます。

今後の課題と展望

調査結果から、管理職は評価を行う際に十分な経験や理解を持たないため、複雑な状況に直面していることが分かりました。部下の特性を正確に理解し、適切なフィードバックや評価を行うことで、組織の成長に寄与することが可能となります。

企業が評価制度をより効果的にするためには、管理職に対する教育や評価についての意識を高める取り組みが必要です。適切な評価を行うことは、組織全体のパフォーマンス向上にもつながるのです。